形容詞用法における他動詞の過去分詞形と自動詞の過去分詞形の違い[青稲塾そこ知り英文法094]

今日の「そこ知り英文法」は「形容詞用法における他動詞の過去分詞形と自動詞の過去分詞形の違い」についてです。現在完了、受動態、形容詞用法に分詞構文など、過去分詞形を使うタイミングは多々ありますが、今日はとりわけ「過去分詞形の形容詞用法」にスポットを当てて見てゆきたいと思います。通常中3で習うこの用法、現在分詞の形容詞用法と対比し、受身的な意味合いを表すとして習いますが、実は「受身」を表さないものあるのです。本日のキーワードは「受身」と「完了」。それではいってみましょう〜。
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問題

問題。以下の英文は「その脱獄囚は殺人で10年前に投獄された。」を英訳したものです。間違いがある場合は訂正しましょう。

  • The escaping prisoner went to prison for a murder 10 years ago.

答え↓

  • The escaped prisoner went to prison for a murder 10 years ago.

解説

現在完了、受動態、形容詞用法に分詞構文など、過去分詞形を使うタイミングは多々ありますが、同じ形を用いる以上は当然共通イメージがあるわけです。それが「静的」というイメージであるということは、現在単純形と現在進行形の違いなどでも説明済みですが、今日はとりわけ「過去分詞形の形容詞用法」にスポットを当てて見てゆきたいと思います。さて、公立中だと3年になってから習うこの用法、「〜している」を表す現在分詞の形容詞用法と対比し、「〜された」という受身的な意味合いを表すとして初めて習います。

  • Look at the broken window.
  • You should buy a used car.
  • English is a language spoken by a lot of people.

このような例文とともに習った記憶があると思いますが、これらはすべて「受身」を表しています。

  • the broken window
    = the window which has been broken
  • a used car
    = a car which has been used
  • a language spoken by a lot of people
    = a language which is spoken by a lot of people

この初遭遇時のイメージが強く残るせいか、「過去分詞形容詞用法は常に受身!」と考えてしまう人が一定数いるようです。・・・しかし、実際は「受身を表さない過去分詞形容詞用法」もあるのです。

  • The world consists of a small number of developed countries and a large number of developing countries.
    世界は少数の先進国と多数の発展途上国からなる。
  • This course is suitable for advanced students.
    このコースは上級学習者向けです。
  • In the garden, there were a lot of fallen leaves left.
    庭には落ち葉がたくさん残っていた。

上記のdeveloped,advanced,fallenは、それぞれcountries,students,leavesを修飾しています。つまり、過去分詞の形容詞用法なわけですが、これらはどれも「受身」を表しません。「(誰かによって)開発された」でも「進歩させられた」でも「落とされた」でもなく、「(自ら)発展し」「進歩し」「落ちた」わけですから、これらが「受身」ではないことは明白です。

  • a small number of developed countries
    = a small number of countries which has developed
  • advanced students
    = students who has advanced
  • a lot of fallen leaves
    = a lot of leaves which has fallen

それでは何を表しているのかと言えば・・・「完了」です。このように、自動詞の中にも、過去分詞形で名詞修飾可能なものがあるのですが、その場合は「すでに終わってしまった動作、完了した状態」を表すのです。そもそも受身文は、能動態の文における目的語を主語の位置に持って来て作ります。よって、目的語を取ることのできない自動詞を使って、「受身」の意味を出すことなど出来るはずもないのです。以下は「自動詞の過去分詞形容詞用法」の代表例です。

  • elapsed time「経過時間」
  • a widely traveled man「広く旅した男」
  • a stuck window「(引っかって)動かない窓」
  • the drifted snow「吹き溜まった雪」
  • a grown-up daughter「成人になった娘」
  • increased activity「活動の増加」
  • vanished civilizations「今はなき文明」
  • swollen ankles「腫れた足首」

以上、まとめると、同じ過去分詞の形容詞用法でも、他動詞なら「受身」自動詞なら「完了」の意味合いになるということです。覚えておきましょう。それでは問題に戻ります。以下の英文は「その脱獄囚は殺人で10年前に投獄された。」を英訳したものです。間違いがある場合は訂正しましょう。

  • The escaping prisoner went to prison for a murder 10 years ago.

escapingに注目です。現在分詞の形容詞用法は「進行・能動」しか表すことが出来ません。「脱獄囚」は「脱獄済みの囚人」のことですから、これでは日本文を満足に反映することは出来ません。「脱獄済み」という「完了」の意味合いを出すために、これを過去分詞形に変えてやりましょう。

  • The escaped prisoner went to prison for a murder 10 years ago.

類題

問題。以下の英文の意味を考え、必要がある場合は訂正しましょう。

  • There seems something like a ghost in the collapsed school.

答え↓

  • 訂正の必要なし。

本日のまとめ

  • 他動詞の過去分詞形は「受身」
  • 自動詞の過去分詞形は「完了」

2 thoughts on “形容詞用法における他動詞の過去分詞形と自動詞の過去分詞形の違い[青稲塾そこ知り英文法094]

    1. のりっく様

      ご指摘いただきまして、大変ありがとうございます。

      prisonの打ち間違いですね…。訂正いたします。

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