動名詞と不定詞の違い[青稲塾そこ知り英文法010]

[010]動名詞v.s.不定詞現在完了と過去形の違い」からスタートした「そこ知り英文法」シリーズも今回で二桁突入!!記念すべき第10回のテーマは動名詞と不定詞の違いについてです。これもまた頻出です。・・・ですが「動名詞には名詞的用法しかなくて、不定詞は名詞・形容詞・副詞用法がある。メガフェップスの目的語になるときは動名詞を使うんでしょ。よゆー♪」とか思ったそこのあなた、では何故メガフェップスでは動名詞を使うのでしょうか。その答え、実は5つの動詞形(「現在単純形と現在進行形の違い」参照)を軸に考えれば見えて来るのです。キーワードは「これまで」と「これから」。
前回の記事はこちら↓「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓

趣味は切手集めです

「趣味は切手集めです。」少々カビ臭い例文ではありますが、これを英訳してみましょう。

  • My hobby is collecting stamps.
  • My hobby is to collect stamps.

上は動名詞、下は不定詞ですが、あなたはどちらを使って書きましたか?まあ、これに関しては、どちらで書いたからと言って絶対に間違えというわけではないのですが、より自然に響くのは前者のようです。というのも、これらの英文をGoogleで検索すると、「上は1,590,000件、下は194,000件」と検索結果に圧倒的な開きがあります。

  • My dream is being a teacher.
  • My dream is to be a teacher.

対して、こちらの場合は後者、不定詞を使う方がより自然なようです。検索結果は「前者は4,120,000件、後者は20,800,000件」こちらもかなり開きがあります。

今日のポイント

さて、「現在単純形と現在進行形の違い」で話した通り、動詞には5つの変化形があり、それぞれに根っこのイメージがあります。

  • 現在形 不変
  • 過去形 距離
  • 原形 未確定
  • ing形 動的
  • 過去分詞形 静的

今回も引き続き、この根本イメージから派生させて考えます。不定詞は「to+原形」で表します。toのイメージは到達方向ですので、不確定な行為、まだ実行していない動作・状態に移行到達していく、つまり「まだしてないけどやがてする」というイメージです。対して、動名詞にはing形を使います。根本は動的ですがこれを原形と比較すると、未確定な原形に対し動きがあるのですから、「すでにやってる」というイメージになります。「これから」v.s.「これまで」。ここで先ほどの英文の主語に注目です。片やMy hobby、片やmy dream。趣味はもちろん日頃から「これまでに」もよくやっていることですからこの場合は動名詞が、夢はまだ実現していない「これから」のことだから不定詞を使うのが自然なわけですね。動詞の目的語としてどちらが適切かを選ぶ際にも、この考え方が役に立ちます。いくらか実例を挙げて考えてみましょう。問題です。以下の英文のうち正しいのはどちら?

  • I enjoyed playing football last night.
  • I enjoyed to play football last night.

正しいのはもちろん前者です。

  • I enjoyed playing football last night. (◯)

「楽しい」という感情は何かをやった後に覚えるものです。まだやっていないことに対して「楽しい」と思えるわけはありません。まあ、中学レベルですので間違えた人は少ないと思います。それではdenyについてはどうでしょうか。

  • He denied cutting the class.
  • He denied to cut the class.

正しいのは前者。

  • He denied cutting the class. (◯)

「これまでの否定・否認」がdenyの意味です。したがって、この場合は動名詞がふさわしいです。(「容認」を表すadmitも同じ)対して「これからの否定・拒否」を表すrefuseは目的語に不定詞を取ります。

  • He refused to cut the class. (◯)

中止・中断・延期系統の代名詞、give upについてはどうでしょう?

  • He gave up smoking.
  • He gave up to smoke.

前者ですよね。

  • He gave up smoking. (◯)

中止・中断・延期系統の動詞は、これまでの流れが必要な動詞です。たとえば運動会が延期される場合って、それに向けた準備・流れ、つまり動きがあったはずですよね。それを断ち切るわけですから動名詞を使うわけです。それでは、大学入試の語法問題頻出のmindはどっちでしたっけ?

  • Would you mind my smoking here?
  • Would you mind for me to smoke here?

正解は・・・・・・・・・

  • Would you mind my smoking here? (◯)

mindやavoidなど「嫌なことを嫌がったり、避けたりする」こうした反応には必ず先んじて想像があります。「イヤだなー避けたいなー」って状況が先に思い浮かんでから、それが嫌なことだと判断するわけで、やはりこれも頭の中ではあれど前もって動きがあるわけですから動名詞を使います。それでは、使い分けによって意味が変わってくる場合はどう考えればいいでしょうか。たとえばforgetのような。

  • Tom forgot sending her a letter.
  • Tom forgot to send her a letter.

後者はうっかりさんですが、前者は痴呆症寸前かもしれません。不定詞・動名詞を両方取れる表現も高校で必ず覚えさせられますが、もちろんingだから「やったこと」を、原形だから「まだやってないけど、やる必要があること」を忘れたという意味になるわけですね。この場合、上は実際に送っていて、下は送ってないわけです。

  • I like being a student.
  • I like to be a student.

同じ意味だと習ったはずのこの二文でさえも、実は使うべきタイミングに違いがあるのです。「あなたが今実際に学生であり、そのことを好ましいと思っている」ということを表現したいときには、実は後者を使うことは出来ません。

  • I like cleaning my room.
  • I like to clean my room.

これも意味が異なります。前者は「実際に日頃から掃除をしている」人のセリフです。後者は「頻繁にはしないけど、やったとしたら好ましいよね」つまり「やるのは良いことだよね」的な表現になります。さてさて、不定詞と動名詞の違いについて動詞の目的語という観点からツラツラと書き連ねてきましたが、いかがでしたでしょうか?少しはお役に立ているのでしょうか?もしそうだとしたら嬉しいです。それではSee you later!

本日のまとめ

  • ing形の根っこは「動的」原形の根っこは「未確定」
  • 「すでにしたこと(想像含む)」は動名詞
  • 「やってないけど、これからやること」は不定詞