能動態と受動態の違い[青稲塾そこ知り英文法022]
窓が割れちゃった・・・
問題です。Mark君は友達と家の中で遊んでいます。鬼ごっこに熱中し、周りは何も見えません。友達から逃げている最中身を屈めた瞬間・・・ガッシャーン!お母さんの大切にしていた花瓶を割ってしまいました。お母さんが帰ってきたら謝らなければなりません。Mark君の気持ちを考えると、より使いそうなのはどちらの表現?
- I broke the vase.
- The vase got broken.
両方ともこの状況を表すことはできます。能動態と受動態の違いはあれど、意味合いとしてもまあ似たような文です。しかしMark君の気持ちを察するに、きっと彼は後者を使うでしょう。
今日のポイント
前回の記事で、能動態と受動態の使い分けを情報構造という観点から説明しましたが、実は能動態か受動態かを決める要因は他にもあるのです。まず一点目は、agentよりもactionを重点にしたい場合です。つまり、「誰が/何がやるのか」よりも「何が起こったのか」に焦点を合わせたい場合、能動態は避け、動作主を省く傾向があります。(ちなみに、受動態の8割はby〜がない文)
- The vase got broken.
↑の英文もそのグループです。花瓶を割るという大失態をやらかしてしまったMark君としては、「自分が割った」ということにはなるべく触れず、「割れてしまった」という出来事だけを伝えたいはずです。「僕が割っちゃったんだ」ではなく「割れちゃったんだ」の方が、責任の所在をあやふやにごまかすことができそうって考えちゃうのが子どもですよね〜。(まあこの場合、火に油を注ぎそうな感はありますが・・・)したがって、この場合は彼の心情も考慮し、受動態が適切でしょう。ちなみに、「動作主をごまかす」だけでなく、そもそも「動作主がわからない」場合、「言わないでもわかる」場合などにも受動態はしばしば使われます。
- This building was built in 14 century.
- Tom was arrested the other day.
二点目は、end-weightの法則によるものです。大きすぎる主語(動詞まで距離がありすぎる文)は英語では好まれません。動詞の後方をend側と考えて、そこにより多くの単語を配置した方がバランス良く、英語として見栄えが良く感じられるのです。そのために、受動態が使われることがあります。たとえば以下のような場合です。
- He was shocked by the girlfriend wanting to break up with him.(←V以降が長いので◯)
- The girlfriend wanting to break up with him shocked him.(←Sが長すぎる!)
さらに、主語をキープしたいがために、受動態を使う場合もあります。
- He is Mark, 11 years old. He was born inTokyo. He plays football on weekends. He plays very well. He is also smart. He is often picked to answer questions by the teacher everyday.........
以上、前回の記事含め、受動態が使われやすいタイミングを大きく4つに分けて説明しました。ただし、学校で受動態からは習わないように、英文の基本形はもちろん能動態です。したがって、受動態を使うに足る理由がない場合は、極力能動態で表現するようにしましょう。
本日のまとめ
受動態を使う方が好ましいのは以下の場合。基本的には能動態を使いましょう!
- 旧情報→新情報
- agent<action
- end_weight
- 主語をキープ