過去を表すmay have doneと未来を表すmay have doneの違い[青稲塾そこ知り英文法075]

075%e9%81%8e%e5%8e%bb%e3%82%92%e8%a1%a8%e3%81%99may-have-done-vs-%e6%9c%aa%e6%9d%a5%e3%82%92%e8%a1%a8%e3%81%99may-have-done今日の「そこ知り英文法」は「過去を表すmay have doneと未来を表すmay have doneの違い」についてです。「助動詞+have done」と見ると「過去についての推量!」と反射的に答えてしまう人が多いですが、実際はそうではありません。have doneという形が持つ意味は「完了」です。「過去」とは違います。今日は過去の推量にしか用いないと思われているフレーズ代表のmay have doneを切り口に、他の「助動詞+have done」についても解説してゆきます。本日のキーワードは「推量」と「完了」。それではいってみましょう〜。
前回の記事はこちら↓
「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓

問題

問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。

  • His English may have improved by the next exam.

答え↓

  • 訂正なし。

解説

「助動詞+have done」を見ると、何でもかんでも「過去に対する推量」と答えてしまう人が一定数いるようですが、必ずしもそうとは限りません。そもそもhave doneという形が持つ意味は「完了」であり、これは「過去」とは異なる概念です。皆さんご存知の通りwill have doneは「未来完了」であって、「未来過去」と言うことはありません。

  • By August next year, Tom and I will have known each other for 10 years.
    来年の8月には、Tomと私が知り合って10年になる。

未来を表すことができるのに、過去しか表せないと思われている語句代表にmay have doneがありますが、これを例に考えてみましょう。have doneと併用するとき、mayは必ず「推量」の意味を取りますが、これは「〜かもしれないし、(そうじゃないかもしれない)」という50:50か、あるいはそれよりも分の悪い推量を表します。そしてこれが大切なのですが、mayの推量は「個別的未来の可能性」を対象にすることも出来るのです。(ちなみに、「一般的な可能性」を表すのはcan。canとmayの違い[青稲塾そこ知り英文法011]参照)

  • It may rain heavily tomorrow.
    明日は土砂降りかも。 

「未来」というとwillしか浮かばない人がいますが、決してそうではなく、実はmayを筆頭にその過去形のmightやcouldも「未来の可能性」を表すことができます。よってmay have doneは「過去の一時点までに何かを完了したことを推量する」という過去推量以外に、「未来の一時点までに何かを完了することを推量する」という未来推量の意味も持つわけです。どちらの意味で使われているのかを見分けるには、いつ時点の話なのかをその都度注意深くチェックする姿勢が必要です。

  • He may have graduated from school next year.
    彼は来年で卒業かもしれません。
  • He may have graduated from school by now.
    彼はすでに卒業済みなのかもしれません。

上の英文は未来を、下の英文は過去を推量しています。推量の対象が時間軸上において正反対なわですが、それを決定するのはあくまでも"next year"や"by now"という部分なのです。よって、may have doneを見かけたら、文中に時を表すフレーズを注意深く探したり、これまでの文脈を考えるようにしましょう。さて、ここまで読んでみて、「それじゃあなんで、mustやcanにはhave doneをともなって未来を表す用法がないんじゃ〜!」と思ったそこのあなた。良い疑問です。それではmayと同じく、mustやcanの推量的な表現の使用法を確認してみましょう。

  • She is weeping. She must be in trouble.
    彼女は涙を流している。問題を抱えているに違いない。

まず、mustの推量用法「〜に違いない(95%の確信)」ですが、これは「過去や現在の状況を根拠に、予想がかなりの確率で正しいはず」と思ったときが使用タイミングです。ここで大切なのはmustは「未来」を表せないということです。未来は不確定要素を多く含みます。今までがどうあれ、これからがどうなるかなんて断定出来るはずもありません。したがって、未来に対してはmustを使ってやることはできないのです。

  • we all can make mistakes.
    私たちは皆、間違いを犯しうる。

次にcanです。can't have doneのように否定文で使いますが、そのもとであるcanの推量用法「〜ということもありうる」は一般可能性について言及する表現です。「タイミング関係なしに、何かが起こりうること」を表すために、そもそも過去・現在・未来という特定の時間と併用することができないのです。このように、mustもcanも端から未来を表す用法を持ちません。したがってhave doneと併用しようが未来を表すことができようはずもないのです。

それでは問題に戻りましょう。問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。

  • His English may have improved by the next exam.

may have improvedがby the next examとともに使われていますが、may have doneは未来を表す用法も持っているので問題ないです。したがって、「訂正なし」が答えです。訳すと「彼の英語は次回のテストまでに改善しているかもしれません。」となります。

類題

問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。

  • She mightn't have finished her homework by tomorrow.

答え↓

  • 訂正なし。

本日のまとめ

  • may have doneは「未来」と「過去」の推量で使用可能。
  • could have done・might have doneも同様。
  • must have done・can't have done は「過去」のみ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です