an hour agoとan hour beforeの違い[青稲塾そこ知り英文法095]
問題
問題。以下の英文は間接話法の文であるが、文法的に間違いがある場合は訂正せよ。
- He said that she had left home an hour ago.
答え↓
- 訂正なし。
解説
agoとbeforeの区別が特に問題になるのが、話法について勉強している時だと思います。「直接話法ではago」を、「間接話法はbefore」を使用する。このように単純化して教わったり、思い込んでしまったり、いずれにせよ勘違いしてしまっている人がそれなりにいるようですが、実は直接話法と間接話法の別はagoとbeforeの核心的な違いではないのです。というのもまず、agoが表すのは「現時点から見た過去」であり、たとえばan hour agoは「現時点から見て1時間前」を指します。
- I saw the man ten years ago.
(今から見て)10年前にその男に出会った。
対して、beforeが表すのは「過去時点から見た過去」であり、たとえばan hour beforeは「とある過去時点から見て1時間前」を指します。
- When I was talking with John, I found that we had met each other ten years before.
Johnと話している時、私たちが(その時から見て)10年前に出会っていたことに気がついた。
このように、同じ「〜前」を表す表現でもしっかり使い分けがあるのですが、「直接話法だとago、間接話法だとbefore」というのは、あくまでもこの違いを利用したものに過ぎません。
- Ted said "Oliver almost drowned three days ago".
↑でagoを使っているのは、" "に挟まれる部分はその当時のセリフという理由からです。この文を間接話法で表すと・・・
- Ted said that Oliver had almost drowned three days before.
こうなります。具体的に日数を当てはめて、確認してみましょう。said時点を仮に12月30日とします。そうすると、直接話法の文における" "に挟まれた部分は「12/27にOliverが溺れた」ということを意味していることになります。間接話法のthat節はというと、「過去の一点(ここではtold時点)を基準に、それから三日前に」ということですから、こちらもやはり「12/27にOliverが溺れた」という意味になるわけです。よって、両者とも同じ内容を示しており、書き換え可能なわけです。
それでは、直接話法から間接話法への書き換えの際に、three days agoのままにしてしまったらどうなるでしょうか?「現時点(発話時点)から3日前」になってしまうので、たとえばこの発言自体を12月31日にしたと仮定すると、「Oliverが溺れたのは12/28」ということになり、矛盾が生じてしまいます。これをわかりやすく教えるために、「直接話法だとago、間接話法だとbefore」というルールが作られたのでしょう。しかし、これはいわば二次的な違いであり、絶対的なルールというわけではないのです。したがって、間接話法の文でagoを使用してもなんら問題はありません。
- Ted said that Oliver had almost drowned three days ago.
しかし先ほども説明したように、こちらの文では・・・
- Ted said "Oliver almost drowned three days ago".
この文と同じ意味にはならないので、その点には注意しましょう。それでは問題です。以下の英文は間接話法の文であるが、文法的に間違いがある場合は訂正せよ。
- He said that she had left home an hour ago.
agoとbeforeの違いは基準時の違いであり、よって間接話法であろうがbeforeを使うことに問題はありません。したがって、「訂正なし」が正解になります。
類題
問題。以下の発言をしたのが8月31日であるとすると、10 days agoは具体的に何日を意味するか?
- Last week Tom said that he had met a very pretty girl 10 days ago.
答え↓
- 8月21日。
本日のまとめ
- an hour agoは「現時点を基準に1時間前」
- an hour beforeは「過去の一時点を基準に1時間前」