mustとshouldの違い[青稲塾そこ知り英文法058]

058-must-vs-should今日の「そこ知り英文法」はmustとshouldの違いについてです。mustとshouldの、特に推測用法における使い分けに迷った経験はありませんか?must「違いない」とshould「はずだ」のどちらを使えばいいのか。たとえば、「お気に入りの選手が次節の試合で復帰する」ことをほぼ確実だと思っている場合はmustとshouldのどちらで表現すればいいのでしょうか・・・。高校英語では両者の違いを主に確信度の差として教えることが多いようですが、実はその決定的な違いは別のところにあるのです。キーワードは「絶対」と「束縛」。それでは、いってみましょ〜。
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問題

問題。mustとshouldのうち正しいものを選び、以下の英文の[ ]を埋めよ。

  • He broke his leg last month. But he's getting better day by day. So He [ ] recover completely sometime in the next few week.

答え↓

  • should。

解説

mustのコアは「絶対」です。"You must go."は「あなたは絶対に行かなきゃ」という話し手の判断を表し、したがって「しなくてはならない」という訳で使われます。対してshouldですが、これはそもそもshallの過去形ですので、shallから解説します。shallのコアは「束縛」です。「神や王様、あるいは法律等抗うことのできない絶対者の意志によって縛られる」というのがそもそものshallのイメージです。そこから過去形にすることでニュアンスを薄め、「助言」などに用いられるようになったのがshouldです。ちなみに、"You should go."には実は一般的に考えられているほど強制のニュアンスはなく、アドバイスをする際に適した表現です。両者を比較すると、むしろmustの方があたりの強い感じになります。

  • You must go.
  • You should go

さて、ここまではmustとshouldの義務性に着目した用法を見てきましたが、両者ともまたこれとはベクトルの違う意味を共通して持っています。蓋然性に関わる、要は推量の用法です。ところで、以下の二文の違いがわかりますか?

  • He must be fit to play football.
  • He should be fit to play football.

前者は「彼はサッカーが出来るくらい健康に違いない。」であり、後者は「彼はサッカーが出来るくらい健康なはずだ。」である。高校では、このようにまずは訳の違いを覚えさせられ、あとは確信度に基づく申し訳程度の解説が付け足され、何問か選択問題をやってお茶を濁す。こうしたパターンが一番多いように思います。事実、多くの学校で採用されている総合英語Forest 7th Editionでは以下のような解説がなされています。

mustは「絶対そうだ」,shouldは「きっとそうだ」,mayは「そうかもしれない」というニュアンス。mustは間違いなくそうだと思っている場合、shouldはそうではない可能性もある場合,mayはどちらかわからないような場合に使う。(総合英語Forest 7th Edition p.123より引用)

しかし、実はこれだけでは両者の重要な違いを説明しきれていないのです。それは・・・mustは未来の推測に利用できないが、shouldはできるという点です。推量のmustは「根拠のある現在の推量」に使われます。たとえば「彼はサッカーが出来るくらい健康に違いない。」をmustを使って言うならば、「毎日20km走っている。」などの根拠と一緒に述べるのが、分別ある大人のマナーです。未来の推量にしか使用できない理由は明白で、未来は不明瞭であり、「絶対」ではないからですね。mustを使って未来を言うと、「何でそんなこと言い切れんねん!」とツッコミをもらうことになります。

  • He must be fit to play football. He runs 20km everyday.

対して、shouldは「期待込みの現在or未来の推量」に使われます。shouldは解説冒頭でも説明した通り、shall「束縛(そうなることになっている)」に由来する表現ですので、未来の推量に使用しても全く問題ありませんし、「期待込み」の部分に関しては過去形にして薄めた確信度の変わりに「期待感」がこもったと考えられます。なお、「彼は来月はサッカーが出来るくらい健康であるに違いない。」のように、たとえ「違いない」という訳語が当てられていたとしても、未来のことに関してならばshouldを使いましょう。

  • He should be fit to play football next month.

最後に一応捕捉ですが、must「〜しなければならない」の否定形「する必要がない」は don't  have to、「してはならない」はmust not。must「〜に違いない」の否定形はcan't「はずがない」。shouldの否定形はshould notになります。一応。

  • You must do that.
  • You don't have to do that.
  • You mustn't do that.
  • He must be tired.
  • He can't be tired.
  • You should do that.
  • You shouldn't do that.
  • It should be hard.
  • It shouldn't be hard.

それでは問題に戻りましょう。mustとshouldのうち正しいものを選び、以下の英文の[ ]を埋めよ。

  • He broke his leg last month. But he's getting better day by day. So He [ ] recover completely sometime in the next few week.

Soで始まる3文目の後方を見てみると"sometime in the next few week"「今から数週間のどこかで」という、未来を表すフレーズが入っていることがわかります。したがって、これはshouldを使って表現する必要があります。

  • He broke his leg last month. But he's getting better day by day. So He [ should ] recover completely sometime in the next few week.

類題

"can't"と"shouldn't"から[ ]に入る方を選び、英文を完成させましょう。

  • Jack [ ] be working today. But Amelia's off with a cold. So he must work for her.
  • I hear Rooney's still injured. So, he [ ] play in the next game.

答え↓

  • Jack [ shouldn't ] be working today. But Amelia's off with a cold. So he must work for her.
  • I hear Rooney's still injured. So, he [ shouldn't ] play in the next game.

本日のまとめ

  • mustは「絶対」。強制。根拠あり・現在についての推測。
  • shouldは「束縛」。助言。期待込み・現在or未来についての推測。

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