完了動名詞と完了不定詞の違い[青稲塾そこ知り英文法038]

038%e5%ae%8c%e4%ba%86%e5%8b%95%e5%90%8d%e8%a9%9e-vs-%e5%ae%8c%e4%ba%86%e4%b8%8d%e5%ae%9a%e8%a9%9e今日の「そこ知り英文法」は「完了動名詞と完了不定詞の違い」についてです。完了動名詞はhaving p.p.、完了不定詞はto have p.p.で表しますが「両方とも述語動詞とのズレ(述語動詞以前)を表すんだから、違いなんてないやろ」と思ったそこのアナタ。残念。実は結構な違いがあるのです。今日の記事は一部上級者向けなので、興味があるor基礎盤石な方を除いて読む必要はありません。混乱してしまう恐れアリなので、最低限センター試験レベルの知識が固まってからをオススメします。
前回の記事はこちら↓
「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓

問題

問題です。以下の英文を和訳しましょう。

  1. I remember seeing him somewhere.
  2. I remember having seen him somewhere.
  3. He seems to have seen her somewhere yesterday.
  4. She wants to read the book next week.
  5. She wants to have read the book within the next week.
  6. She hoped to be the president.
  7. She hoped to have been the president.

答えは↓。

  1. 私は彼とどこかで会ったことを覚えている。
  2. 私は彼とこれまでにどこかで会ったことを覚えている。
  3. 彼は昨日どこかで彼女と会ったようだ。
  4. 彼女は来週、その本を読んでみたいと考えている。
  5. 彼女はあと7日以内にその本を読み終えたいと考えている。
  6. 彼女は社長になることを望んでいた。(なれたかも。なれなかったかも)
  7. 彼女は社長になることを望んでいた。(実際にはなれなかった)」

どうでしょう。特に後半4つが難しいかと思いますが、全問正解出来ましたか?

解説

完了動名詞は"having p.p."を使って表します。単純不定詞は基本的に述語動詞と同時点を表すのに対し、完了動名詞は「述語動詞以前」を表すことが出来ます。

  • He's proud of being a member of the club.
    「彼はその俱楽部のメンバーであることを誇りに思っている。」
  • He's proud of having been a member of the club.
    「彼は以前その俱楽部のメンバーであったことを誇りに思っている。」

完了動名詞を習うと「『以前のこと』なら何でも完了動名詞!!」な人が出てきますが、実は単純動名詞を使用して「以前」を表すことが出来る場合もあります。remember「覚えている」forget「忘れる」regret「後悔する」admit「認める」などのように過去を暗示する語が述語動詞に来る場合は、単純動名詞で「以前」を表すことが出来ます。※目的語の動名詞が状態動詞なら完了動名詞が必要。

  1. I remember seeing him somewhere.
    「私は彼とどこかで会ったことを覚えている。」
  2. I remember having seen him somewhere.
    「私は彼とこれまでにどこかで会ったことを覚えている。」
  3. He admits knowing the password.
    「パスワードを知っていることを認めた。」
  4. He admits having known the password.
    「以前はパスワードを知っていたことを認めた。」

さて、ここから完了不定詞"to have p.p."ですが、まずは基本から。完了不定詞は、完了動名詞と同じく、「述語動詞以前」を表すことが出来ます。(ちなみに、不定詞は過去を暗示するタイプの動詞とはもともと合わないので、単純不定詞と完了不定詞が同じ意味になるタイミングはありません。「以前」なら完了不定詞!!)

  • He seems to have seen her somewhere yesterday.
    「彼は昨日彼女とどこかで会ったようだ。」

問題は「未来を暗示する述語動詞+完了不定詞」です。expect「予期する」intend「意図する」hope「望む」want「欲する」などの動詞を不定詞と組み合わせるとき、その目的語には本来「述語動詞以降」のことが入るはずですが(hope to do「(これから先に)〜することを望む」など)それでは「述語動詞以前」を表すはずの完了不定詞を組み込むとどうなるのでしょうか?一見、意味合い的に矛盾しそうですが・・・。

  • She wants to have read the book within the next week.
    「彼女はあと7日以内にその本を読み終えたいと考えている。」
  • She wants to read the book next week.
    「彼女は来週、その本を読んでみたいと考えている。」

現在形の述語動詞+完了不定詞」の場合、完了不定詞は「述語動詞以降」を表します。「未来を暗示する動詞+to不定詞の未来志向性+have p.p.」の合わせ技で未来完了の代用となるわけです。(ちなみに、「現在形の述語動詞+単純不定詞」との違いは「when you read itとwhen you’ve read itの違い」が参考になります)

  • She hoped to have been the president.
    「彼女は社長になることを望んでいた。(実際にはなれなかった)」
  • She hoped to be the president.
    「彼女は社長になることを望んでいた。(なれたかも。なれなかったかも)」

過去形の述語動詞+完了不定詞」において、完了不定詞部分は「仮定法」と同じような意味合いになります。動詞の時制を一つ下げることによって仮定法の文を作ること出来ますが、原理はこれと同じです。単純不定詞に対する過去形として完了不定詞を使うことで、過去時点での結局は叶えられなかった願望を述べる、つまり「出来はしなかったけど、そうしたいと思っていた」ということを表すことが出来るようになるのです。

類題

以下の日本文を動名詞or不定詞を使って英訳せよ。回答として複数パターン考えられる場合は複数書け。

  1. 君に電話しようと思ってたんだけど、忘れちゃった。
  2. 明日までに宿題をやっときたいな。
  3. MaryはTomと付き合っていたことを忘れてしまった。

答えは↓。

  1. I meant to have called you, but I forgot.
  2. I hope to have done my homework by tomorrow.
  3. Mary's forgotten going out with Tom.
    Mary's forgotten having gone out with Tom.

本日のまとめ

  • 完了動名詞「述語動詞以前」を表す
  • 完了不定詞加えて「未来完了」や「仮定法」の代用をすることがある

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