関係代名詞の連鎖と二重限定の違い[青稲塾そこ知り英文法100]
問題
問題。「彼は私の知り合いの中で、唯一信頼に足る男だ。」を表す英文として適切なものを以下のうちから選べ。
- He is the only man who I know is trustworthy.
- He is the only man I know who is trustworthy.
答え↓
- 2。二重限定。
解説
関係代名詞の連鎖も二重限定も、受験頻出とまでは言えませんが、受験レベルの範疇ではあります。理解していない人が多い分野であることもまた事実ですが、しかしたった一つのことを気に掛けるだけで、普通に訳せるようにも、英作に活用できるようにもなります。それは、これら2つにしか活用できないような特殊な知識・考え方ではありません。実は関係代名詞の使用法全般に言える、ごく一般的な包括的な考え方なのです。つまり、「もとの文に分割せよ」たったこれだけのことを徹底しさえすればいいのです。
関係代名詞の連鎖とは「that節を含む文と、他の文」が合成された結果生じるものです。たとえば・・・
- The boy who I thought was honest at first deceived me.
初めは誠実だと思っていた少年が、私にウソをついた。
このような文が具体例ですが、これは以下の2文が合成されたものと考えることが出来ます。
- The boy deceived me.
- I thought he was honest at first.
初めて見ると、「もとの2文からどのように組み上げればこれが完成するのか・・・」と、多少面食らうこともあるかと思いますが、合成方法自体は実は普通の関係代名詞と変わりありません。関係代名詞と関係副詞の違い[青稲塾そこ知り英文法059]で説明したことを思い出しましょう。関係代名詞の入った文を作りたければ、次のような順序で考えるのでした。
- He is a teacher. Everyone likes him.
この2文が原型。 - He is a teacher. Everyone likes who.
himが関係代名詞whoに変化! - He is a teacher. who everyone likes.
whoが2文目の先頭に移り形容詞節完成!! - He is a teacher who everyone likes.
関係代名詞節を先行詞にくっつけて完成!!!
関係代名詞の連鎖の場合も同様に考えればいいのです。
- The boy deceived me. I thought he was honest at first.
この2文が原型。 - The boy deceived me. I thought who was honest at first.
heが関係代名詞whoに変化! - The boy deceived me. who I thought was honest at first.
whoが2文目の先頭に移り形容詞節完成!! - The boy who I thought was honest at first deceived me.
関係代名詞節を先行詞にくっつけて完成!!!
仕組みが掴めましたでしょうか?原理原則に忠実に考えるなら、そこまで難しい話ではないのです。たったの3ステップで完成です。これで英作はバッチリ。意味を取る際には、逆に分解してやればいいわけです。次に、関係代名詞の二重限定の説明に移ります。
- There is nothing that I know which is as useless as it.
私の知っている内で、それほど無駄なものなんてない。
具体例はこんな感じですが、こちらは3文から出来ています。
- There is nothing. I know it. It is as useless as it.
この3文が原型。 - There is nothing. I know that. which is as useless as it.
1つめのitが関代thatに、2つめのitが関代whichに変化! - There is nothing. that I know. which is as useless as it.
thatとwhichがそれぞれ文頭に移り形容詞節完成!! - There is nothing that I know which is as useless as it.
関係代名詞節を順番に先行詞にくっつけて完成!!!
注意すべきは、意味の取り方です。関係代名詞節が、2つ連続して並ぶわけですが、「前半の関係代名詞節」で限定した後、そこからさらに「後半の関係代名詞節」で限定しているわけです。意味を取る際に、逆の順序で捉えないようにしてください。英語ですので、当然→の順番で理解していきましょう。
一応簡単にまとめると、両者の簡単な違いは、連鎖の方は2文から、二重限定の方は3文から作ることができるということになります。特に悩ましいのは、関係代名詞節内の述語動詞がthink,knowなどthat節を目的語に取りうる動詞の場合ですが、文中のどこに抜けがあるのかを落ち着いてよく見てみましょう。関係代名詞はもとが代名詞なので、関係代名詞節の中には、主語・補語・目的語のいずれかに必ず抜けがあります。意味を取るときは、これを基準に文を分解、確認するといいでしょう。
それでは、問題に戻ります。問題。「彼は私の知り合いの中で、唯一信頼に足る男だ。」を表す英文として適切なものを以下のうちから選べ。
- He is the only man who I know is trustworthy.
- He is the only man I know who is trustworthy.
まずは、文の構造を確認し、それぞれをもとになる文に分解してみましょう。1番の英文は2つめのisの主語に抜けがあること、2番はknowの直後と、isの主語に抜けがあることから、以下のように分解することができます。
- He is the only man. I know he is trustworthy.
- He is the only man. I know him. He is trustworthy.
その上で、「知り合いの中で」という表現に注目してみましょう。問題の英文を見るとこれをI knowを使って表現しているようですが、ここで問題になるのが、その目的語は何になるのかということです。knowの目的語としては・・・
- 「彼が信頼できる」とわかっている
- 「彼自身」を知っている
この2つが想定されますが、与えられている「知り合い」という日本語から考える限り、ここでは「彼」を目的語とすべきことがわかります。つまり、"I know him."という一文が復元できるわけです。よって、二重限定を使用している2番が正解になります。
類題
問題。以下の英文を分解せよ。
- A true friend is a friend we want who we know is nowhere in fact.
答え↓
- A true friend is a friend.
- We want it.
- We know it is nowhere in fact.
本日のまとめ
- 関係代名詞の連鎖は「2文から」
- 関係代名詞の二重限定は「3文から」