今日の「そこ知り英文法」は「関係詞の制限用法と非制限用法の違い」についてです。「,なし」の関係詞を制限用法・「,あり」を非制限用法と呼びますが、学校では「訳し上げor訳し下げ」の違いをメインに学ぶことが多く、その場合日本語では特に大きな違いがなくなってしまいます。そのため、存在意義がよくわからなくなってしまっている、非常にもったいない項目のひとつです。しかし、実はそこに「,がひとつあるかないか」だけで、表現できる状況は、場合によっては180度異なるのです。訳だけでなく、文法原理もしっかり学び、その違いを完璧に身に付けましょう。前回の記事はこちら↓
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canとmayの違い[青稲塾そこ知り英文法011]http://seito-juku.com/canとmayの違い/「自学の心得」シリーズのリライト(興味のある方は↓のリンクから)が終わったので、今日からはまた「そこ知り英文法」シリーズを再開します。シリーズ再会一発目は「can…「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓ 青稲塾・Each Student Infinite Possibilities 青稲塾そこ知り英文法 | 青稲塾・Each Student Infinite Possibilitieshttp://seito-juku.com/青稲塾そこ知り英文法/「青稲塾そこ知り英文法」シリーズのまとめページです。各記事を文法項目別にまとめ直しましたので、時間のある時に興味のある記事を読んでみて下さい。なお、複数の文…
息子は三人?それとも・・・。
問題です。「私には息子が三人いて、全員が医者をやっています」を関係代名詞を使って英訳し、正確に書きなさい。
- I have three sons who are all doctors.
- I have three sons, who are all doctors.
「,なし」で書いた人、残念ながら不正解です。正解は後者。ちなみに、前者は「私には医者をやってる息子が三人います」になります。日本語で比較すると違いが見えづらくなってしまうのですが、英語的には2文が示す状況は完全に異なります。なんと、前者では息子が4人以上いることになってしまうのです・・・。
今日のポイント
関係詞(関係代名詞と関係副詞)の制限用法(,なしversion)は、別名限定用法とも呼ばれます。「あっちではなくてこっち」、意味の曖昧さを削り取るために、そうじゃないものを分離させて、それそのものだけに絞るのが限定です。つまり関係詞の制限用法は対比的な意味合いを暗示するのです。たとえば、「Sawyer先生は私が最も好きな先生方のうちの一人です」を考えます。先生というのは、世の中にたくさんいます。その中で、好みの先生とそうじゃない先生の両方いるのが普通ですよね。先生という存在であれば誰しもが好まれるということはありえませんので、ここで「私が最も好きな」は「先生方」が「どのようなタイプの先生方」なのかを限定する役割を果たしていると考えられます。
- Mr.Sawyer is one of the teachers who I like the best.
対して非制限用法(,ありversion)は捕捉的な意味合いを持ちます。限定する必要がない、「それしかない名詞」に対して同じ文中で説明を付け加えたい場合に使用します。たとえば、「たくさんの人が住んでいる東京」という表現です。東京はひとつです。「たくさんの人が住んでいる東京」以外に「たくさんの人が住んでいない東京」があるわけではないですよね。したがって限定する必要がありませんので、非制限用法を使って以下のような文が書けます。
- Tokyo, which a lot of people live in, is the capital of Japan.
ところで、以下の表現にはどのような違いがあるかわかりますか?
- Mary is my girlfriend who I really love.
- Mary is my girlfriend, who I really love.
上の文は「,なし」なので制限用法です。対比を暗示するのですから、IにはMary以外に他のgirlfriendがいるということになります。「本当に好きな方の」と言ってはいますが、Iは本質的には浮気野郎なわけです。対して後者は「,あり」なので非制限用法です。対比的なニュアンスではなく、ただの捕捉説明なわけですから、IのgirlfriendはMary一人で、しかも「本当に愛している」わけです。コンマ1つでかなり状況が変わってきますね・・・。さて、ここまでは関係代名詞で説明しましたが、もちろん関係副詞でも同じことが言えます。
- New York, where I’ve lived for 20 years, is absolutely fantastic.
- I played football last Sunday, when I had to study for the exam.
二種類のNew Yorkがあるわけでも、二種類のlast Sundayがあるわけでもないですよね。だから、限定してやる必要がない。したがって、これらの場合には非制限用法を使うわけです。ちなみに、こう考えると関係副詞のwhyとhowに非制限用法がないのも当たり前の話だと言えます。関係副詞whyの先行詞にはa/the reasonしか来れません。世の中には「理由」は無数にあるわけですから、当然限定してやらないければ、どのreasonなのかわからないですよね。howの先行詞は(必ず省略されるのでこの言い方が正しくないかもしれませんが・・・)the wayです。これもreasonと同じで限定してやらないとどのような「方法」なのかわからないわけです。したがって両者は必ず制限用法で使用する必要があります。
本日のまとめ
- 関係詞の制限用法(,なし)は対比を暗示
- 関係詞の非制限用法(,あり)は捕捉説明