文否定のnoと語句否定のnoの違い[青稲塾そこ知り英文法069]
問題
問題。以下の英文を訳せ。
- With no job, he would die.
- With no job would he die.
答え↓
- 仕事がなければ、彼は死んでしまうだろう。(働くことが大好き)
- どんな仕事をしても、彼は死なないだろう。(どんな仕事もこなせる)
解説
何を否定するのかによって、noの用法は大きく2つに分かれます。一つが「文否定のno」であり、もう一つが「語句否定のno」です。たとえば・・・
- I have no apples.
この文は「私はリンゴを持ってない。」と訳しますよね。慣れているから当たり前にやっていますが、こうした文を訳すときは「私はリンゴを持っている。」という肯定文をまずイメージし、それを否定化するという順序でやっているはずです。このように、文を前提とし、それを否定するものを「文否定」と呼びます。対して、文を前提としない否定もあります。
- In no time, he came here.
これは「彼はすぐに(no timeで)ここに来た。」と訳しますが、noはあくまでもtimeを否定しているだけであって、「彼は来なかった」という意味にはなりません。このように、文全体ではなく、単語や句のみを否定するやり方を「語句否定」と呼びます。
- He showed me no small skill.
これも語句否定の一種で、smallという語自体を否定していますので、「並々ならぬ腕前を披露した。」という訳になるわけです。文否定or語句否定のどちらなのかを調べる方法としては、「noを"not+ any"に分解し、notの掛かりどころを考えてみる」というのが簡単なやり方です。notを動詞の直前に入ることが出来、かつ否定の範囲が文末まで続くことが文脈的に不自然でなければ文否定、そうでなければ語句否定と考えましょう。
文否定語句否定問題に絡めて、英文解釈的に重要なポイントが一つあります。特に受験で一定ラインより上の大学を目指す場合は、否定語句倒置を勉強すると思います。否定語句・準否定語句・onlyなどが文の先頭に来ると、疑問文の語順に変化するという例のやつです。
- Not until yesterday did Paul change his mind.
このルール自体は、ある程度勉強した人なら問題なく知っていると思うのですが、実はあまり知られていない盲点があります。語句否定のときには否定語句倒置は起こらないのです。「noが何を否定しているのか」しっかりと注意するよう心掛けましょう。
- In no clothes, she will look attractive.
服を来なければ、彼女は魅力的に見えるだろう。 - In no clothes will she look attractive.
どんな服を来ても、彼女は魅力的に見えないだろう。
それでは問題に戻ります。問題。以下の英文を訳せ。
- With no job, he would die.
- With no job would he die.
1の英文は倒置が起こっていないことから、noは語句否定であることがわかります。したがって「仕事がなければ、彼は死んでしまうだろう。」という訳になります。対して2の英文では否定語句倒置が起こっています。ということは文否定なので「どんな仕事をしても、彼は死なないだろう。」という訳になります。
類題
問題。以下の日本文を"in no time"を使って英訳せよ。
- すぐに良くなるでしょう。
答え↓
- In no time, you'll feel better.
本日のまとめ
- noは"not+any"に分解出来る。
- notが動詞を中心に文を否定→文否定のno。
- notが名詞・形容詞等語句を否定→語句否定のno。
- 否定語句倒置は文否定のみで発生する。
2.With no job would he die.
→2.の文の肯定の意味は「彼は死んでしまうだろう。」、従って文否定すると、「彼は死なないだろう。」となるのでは。 従い、英文の訳は「どんな仕事をしても、彼は死なないだろう。」ではないかと。
ご指摘ありがとうございます!訂正致します。