文否定のnotと語句否定のnot[青稲塾そこ知り英文法070]
問題
問題。notがどこに掛かるのか指摘した上で、以下の英文を2通りに訳し分けよ。
- I don't like Ava because she is rich.
答え↓
- 文全体。Avaが金持ちだという理由で好きなわけではない。
- like Ava。Avaは金持ちだから好きじゃない。
解説
昨日お話した通り、noは「どこからどこを否定するのか」によって文否定と語句否定とに分かれますが、notも同様に文否定と語句否定とに分かれます。文否定or語句否定のどちらなのかを調べる方法も同じです。notが動詞の直前にあり、かつ否定の範囲が文末まで続くことが文脈的に不自然でないならば文否定、不自然であるならば語句否定となります。
- He doesn't come from Osaka.
彼は大阪出身だというわけではない。(文否定) - He comes not from Osaka but Kyoto.
彼は大阪ではなく、京都出身だ。(語句否定)
前者はnotの後ろには"come from Osaka"というひとまとまりの表現があるだけです。その後ろに他のフレーズがあるわけではありません。したがって、否定の範囲は一番後ろまでと考える他なく、自動的に文否定であることがわかります。対して後者はnotが動詞の直前にないことから、語句否定であることがわかります。
- I was not doing it all the time.
問題はこのような文のときです。文否定と語句否定、両方ともに可能性があります。こうした場合は、文脈によって意味を把握するしかありません。たとえば、自分の好きなことしかやらず、いつ見てもスマホをいじってゲームばかりしている男の子が、お母さんに叱られている場面を思い浮べます。「いつもいつもゲームばっかりして!いい加減にしなさい!!」これに対する返しだとすれば、文否定「(してたタイミングもあるけど)ずっとやってたわけではない。」だと考えられるでしょう。語句否定(was doing itのみを否定)と捉えると「(首尾一貫して一度たりとも)していなかった。」となりますが、男の子としてもお母さんに見られていたことはわかっているでしょうし、このタイミングでこの意味で発言することはないでしょう。
他によくnotと絡んでくるのは準動詞(不定詞・動名詞・分詞)ですが、これは簡単です。準動詞の直前にあるnotは絶対に語句否定となります。
- I told you not to do that!
そんなことしないように言ったよね。(語句否定) - You didn't tell me to do that!
そうしろって言わなかったじゃん。(文否定)
ところで、notは品詞的には副詞に分類されるのですが、副詞が副詞を修飾する場合の位置関係は大丈夫でしょうか?
- He speaks English very fluently.
この文からわかるように、副詞が副詞を修飾するときには、左の副詞が修飾語で、右の副詞が被修飾語となります。このルールはnotと他の副詞との関係性にも適用されます。
- I don't really like Sushi.
寿司が大好きというわけではない。(文否定。嫌いではない) - I really don't like Sushi.
寿司が本当に好きじゃない。(語句否定。嫌い。)
それでは問題に戻ります。問題。以下の英文をnotの掛かりどころを指摘し、2通りに訳し分けよ。
- I don't like Ava because she is rich.
まずひとつめが「文否定」の考え方です。「Avaが金持ちだという理由で好きである」という肯定文を否定すると、「Avaが金持ちだという理由で好きなわけではない。」となります。好きだけど理由は他にあるわけですね。対して、「語句否定」でも考えられます。この場合、否定しているのは"like Ava"のみです。「Avaは金持ちだから好きじゃない。」となります。「好き」と「好きじゃない」。意味合い的に真逆になるりますね。notがどこに掛かるのか、よくよく考えてみることはとても大切です。
類題
問題。notがどこに掛かるのか指摘した上で、以下の英文を訳せ。
- You shouldn't buy new clothes because they are cheap.
答え↓
- 文全体。安いからという理由で新しい服を買わないほうがいい。
本日のまとめ
- 動詞を中心に文を否定→文否定not
- 語・句・節を否定→語句否定not