the kindest manとa most kind manの違い[青稲塾そこ知り英文法082]
問題
問題。以下の英文に間違いがあれば訂正せよ。
- He is a most kind man.
答え↓
- 訂正なし
解説
「kindを最上級に変え、それを使用した一文を作れ。」と言われたら、あなたはどうしますか?多くの人が「最上級だからthe kindestで・・・意味は"一番親切"だから・・・」と考えるのではないでしょうか。
- He is the kindest man of all.
彼は全員の中で一番親切な男だ。
確かに、基本的にはその考え方で問題ありませんが、最上級の一種として「a most kind」という形があることは知っていますか?
- He is a most kind man.
彼はとても親切な男だ。
最上級にも関わらず他者との比較を表さない最上級を「絶対最上級」と呼びます。普通の最上級が他者との比較を表す、いわば相対最上級(※正式な文法用語ではありません)であるのに対して、こちらは名前にもある通り絶対的。他者との比較ではなく、単に程度を強めているに過ぎず、要はveryと同程度の意味しか持ちません。こうした最上級のことを絶対最上級と言うのです。上記のように、「一音節なのに、-estではなくmostを使用すること」が相対最上級の特徴のひとつではありますが、絶対にそうなるというわけでもありませんので注意が必要です。さらに、theを付けることで強調の程度をさらに強める場合もあり、そうなってくるといよいよ通常の最上級と見分けが付きません・・・。
- Your idea sounds most interesting.
君の考え、とても面白そうだね。 - They were most clever boys.
彼らはとても利口な少年たちだった。 - He is in closest touch with global warming.
彼は地球温暖化に精通している。 - She is the most beautiful woman.
彼女はとてつもなく美しい女性だ。 - She is the most beautiful girl in the class.
彼女はクラスで一番美しい少女だ。
副詞の場合は、そもそも普通の最上級にもtheが付かないことが多いので、絶対に文脈を踏まえて判断しなくてはなりません。
- He checked the report most eagerly.
彼はその報告書をとても熱心にチェックした。 - He checked the report most eagerly of all.
彼はその報告書を一番熱心にチェックした。
theあり最上級とtheなし最上級の違い[青稲塾そこ知り英文法044]でお話した、theなし最上級と混同する人がちょくちょくいますが、それとも異なることに注意が必要です。あちらは、同一人物(or同一物)の状態を比較する表現であり、「(ある時・状況のTomとそれ以外のTomを比較すると、)Aの時のTomが一番〜だ。」のように使います。対して、絶対最上級は比較そのものを行いません。
- Tom looks happiest when eating ice-cream.
Tomはアイスを食べている時が(他の時と比べて)一番幸せそうだ。 - Tom looks happiest.
Tomはとても幸せそうだ。
絶対最上級を見抜くには、しっかりと文脈を捉えてゆくほかありません。もちろん、a most kind manのようなわかりやすいものも中にはありますが、全てがこのように形から見抜けるものではないのです。したがって、普段から文脈をしっかりと取ることを心掛け、意味がすんなり取れない最上級があれば絶対最上級を疑うようにしましょう。
それでは問題に戻ります。問題。以下の英文に間違いがあれば訂正せよ。
- He is a most kind man.
これは「彼はとても親切な男だ。」ということを表す、絶対最上級を使用した文です。よって、訂正する必要はありません。
類題
問題。次の英文を日本語に訳せ。
- She was a most beautiful woman.
答え↓
- 彼女はとても美しい女性だった。
本日のまとめ
- 普通の最上級は相対的(他との比較)
- 絶対最上級は絶対的(比較をしない。強調)