as long asとas far asの違い[青稲塾そこ知り英文法099]

今日の「そこ知り英文法」は「as long asとas far asの違い」についてです。これらは決して特殊なモノではなく、大学受験向けの文法参考書や熟語集などにもよく掲載されているごくごく一般的な知識の一つですが、それにも関わらず混同している人をよく見ます。「〜する限り」という訳語や、as~as構文を使用しているなど、共通点もあるので、混同してしまう気持ちがわからなくはないですが、センター試験でも問われることのある知識です。しっかりと身に付けましょう。本日のキーワードは「時間」と「空間」。それではいってみましょう〜。
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問題

問題。以下の英文は「宿題を終わらせたら、ゲームしていいよ。」を表したものです。文法的に適切なのはどちら?

  1. As long as you finish your homework, you can play the video game.
  2. As far as you finish your homework, you can play the video game.

答え↓

  • 1。as long as。

解説

as long asとas far asは決して難解なイディオムではなく、大学受験向けの文法参考書や熟語集などにもよくよく掲載されているごく一般的な知識の一つです。したがって受験までに必ず押さえておく必要があるのですが・・・「〜する限り」という訳語や、「as~as」構文を使用している点など、その共通点ゆえか、両者を混同している人をかなりよく見ます。特に、「"〜する限り"を表すときにどちらを使うべきか」や「どちらが条件を、どちらが範囲を表すのか」がわからなくなる人が多いようです。

さて、まず両者の共通点である「〜する限り」という訳語がどこから来るのか考えてみましょう。今や接続詞としての用法が当たり前のものとして受け入れられていますが、これらは「as~as」構文に由来する表現です。皆さんご存知のように、この構文、基本的には「同じ」であることを表すのに使います。たとえば・・・

  • Tom is as tall as you.

この英文は「Tomとyouがtallという基準において"同じ"」という意味になりますよね。それでは「同じ」を表す「as~as」構文が、なぜ「〜する限り」という「限界」の意味を持つのでしょうか?これを考える前に、まず下の英文を訳してみましょう。

  • That was as much as I could do.

基本に則って考えるのであれば、「それと、私が出来たことが量を基準にして"同じ"だった」ということになりますが、どう訳すのが適切でしょうか。実はこれ、「私に出来たのはせいぜいその程度だった。」とか「そのくらいのことしか出来なかったんだ。」というふうに訳します。つまり、「その程度までは出来たが、それ以上のことはできなかった」という「限界」を内包している表現なわけです。このように「as ~as」構文はときに「限界」を表す場合があるのですが、その仲間であるas long asやas far asに関しても、同様のことが言えるわけです。

  •  I'll give you whatever you want as long as I live.
    僕が生きている限り、君に不自由はさせません。
  • Kick tha ball as far as you can.
    できる限り遠くにボールを蹴って。

次に、as long asとas far asの区別ですが、これはもとになっている単語を考えるとわかりやすいです。まず、as long asにおけるlongですが、これは時間的距離を表します。たとえば・・・

  • I haven't seen Oliver for a long time.
    Oliverは長いこと見てないな。
  • It won't be long.
    そう長くは掛からないだろう。

一文目のlongはtimeを修飾し、二文目は補語となっていますが、両方とも「時間的に長い」ということを表しますよね。対して、as far asにおけるfarは空間的距離を表します。

  • It's too far to go by bike.
    自転車で行くには遠すぎる。

これらlongとfarを応用する形で、as long asは「時間的距離を背景にした限界」を、as far asは「空間的距離を背景にした限界」を表すわけです。条件と範囲の用法もここから生じます。条件とそれに対する帰結「もしAなら、Bになる」というのは、時間の広がりを前提とした表現です。「丁寧に使うなら、このノートパソコン使っていいよ。」「ほんの少しでもチャンスがあるなら、僕はやるよ。」「面白いなら、どんな本でもかまわない。」このように、条件を表すのであれば、条件の設定時点と達成時点との間に時間経過が必要となります。だからこそ、as long asを使用するわけです。

  • You can use this laptop as long as you use it carefully.
  • I will do it as long as there's even a little chance.
  • Any book's fine as long as it's interesting.

対してas far asは「私の知る範囲内では、彼が最も誠実な男だ。」や「彼女の知っていた範囲内では、彼が最も誠実な男だった。」などで使います。これらは時間経過を前提とせず、むしろ時間軸上の一点において、ある範囲内に絞り込む表現です。前者は「現時点における、私が知っている範囲」に、後者は「過去の一時点における、彼女が知っていた範囲」に限定する表現であり、時間の進展には関係ないからこそ、as long asではなくas far asを用いるわけです。

  • As far as I know, he is the most honest man.
  • As far as she knew, he was the most honest man.

さてさて、ところで少し話題は変わりますが、as long asの用法にはもう一つ注意すべき点があります。「as long asはifとほぼ同じ。書き換え可能」と学校などでは教わりますが、しかし、両者は必ずしも書き換え可能なわけではないのです。as long asとifの書き換えが出来るのは、基本的に直接法のときのみで、ifとは異なり、多くの場合仮定法の文でas long asを使うことはありません。というのも・・・

  • I'd fly to you, if I were a bird. (◯)
  • I'd fly to you, as long as I were a bird. (×)

直接法の条件が時間軸上の対比(条件設定時点vs.条件達成時点)であるのに対し、仮定法の仮定は現実との対比(現実vs.仮想)です。条件・仮定を設定する前提事項が異なるわけです。ということで、絶対というわけではないですが、ほとんどの場合、仮定法でas long asを使うことはありません。英作文などでは普通にifを使いましょう。さて、それでは問題に戻ります。以下の英文は「宿題を終わらせたら、ゲームしていいよ。」を表したものです。文法的に適切なのはどちら?

  1. As long as you finish your homework, you can play the video game.
  2. As far as you finish your homework, you can play the video game.

この発言があった時点では、宿題を終わらせてはいないですよね。それが、「(時間経過にともなって、あるタイミングで)宿題を終わらせたならば・・・」というわけですから、答えはas long asの1番になります。

類題

問題。以下の英文は「Oliverが居てくれる限り、彼女は幸せだ。」を表したものです。より適切なのはどちら?

  1. She is happy as long as Oliver is around her.
  2. She is happy as far as Oliver is around her.

答え↓

  • 1。as long as。

本日のまとめ

  • as long asの前提は「時間的広がり」
  • as far asの前提は「空間的広がり」

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