今日の「そこ知り英文法」は「kick himとkick at himの違い」についてです。kick himのkickは他動詞で、kick at himのkickは自動詞です。このように「一見同じように見える」のに、自動詞と他動詞の用法を両方持っている動詞は実は多いです。そして、これ適当に使い分けているわけではなく、一つのルールにそっています。ところで、himは蹴られたのか、それとも・・・。キーワードは「他者への影響」と「自己完結」。それでは、いってみましょ〜。前回の記事はこちら↓
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time for you to goとtime you wentの違い[青稲塾そこ知り英文法062]http://seito-juku.com/timeforyoutogoとtimeyouwentの違い/今日の「そこ知り英文法」は「time for you to goとtime you wentの違い」についてです。”It’s time for you to go to bed.”と”It’s time you went to bed.”の違いを、動詞の形に込められた根本的イメージに着目することで解き明かし…「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓
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青稲塾そこ知り英文法・まとめhttp://seito-juku.com/projects/青稲塾そこ知り英文法/このページは「青稲塾そこ知り英文法」シリーズのまとめページです。当シリーズでは、「受験に絶対必要」でも「学校で教わる」わけでもないですが、「正確な英文を作るために必要」だったり、「丸暗記の負担を減らすことができる」知識・考え方をまとめています。現…
問題
問題。以下の英文を訳し分けましょう。
- Oliver kicked him.
- Oliver kicked at him.
答え↓
- Oliverは彼を蹴った。
- Oliverは彼めがけて蹴った。(しかし当たらなかった。)
解説
kick himのkickは他動詞で、kick at himのkickは自動詞です。
他動詞と自動詞の違いは、まず目的語の有無にあります。他動詞は当然目的語を取ります。そして、主語とその目的語の関係性を他動詞を介して表すことになりますが、この関係性は多くの場合「主語Aが目的語Bに影響を与える」or「主語Aが目的語Bを含んでいる」といった関係となります。たとえば、前者は〜〜〜〜〜。後者の例はhave,possess,?などですね。このように、他動詞のエッセンスは「影響」と「包含」です。(包含=「影響下にある」と考えるなら、「」)
対して自動詞は、主に主語の自己完結した動作・状況を説明します。たとえば、代表的なモノとして存在・移動・印象を表すものがありますが、それ以外も自動詞ならやはり「自己完結」です。
このように、他動詞なら「他者への影響」、自動詞なら「自己完結」な??があるのですが、これが動詞のニュアンスにも影響してきます。自動詞・他動詞両方で使える動詞があります。たとえば、chew「噛む」とかがそうです。自動詞の場合は前置詞onを付加してchew on itのように使い、他動詞ならchew itのように使います。
- Oliver chewed on the pencil.
- Oliver chewed the pencil.
この英文の違いはわかりますか?前者は「噛んで、表面に噛み跡を付けた」くらいの意味で、後者は「口の中に入れて、クチャクチャ噛んだ」みたいな意味になります。なぜこのような違いが生じるのでしょうか??前者は自動詞chewと「接触」を表す前置詞onを使っています。したがって、この場合のchewは自己完結的な行為であり、「アゴを上下に動かす」程度の意味しか持ちません。それにプラスしてonを使うことにより「the pencilの表面に接触する」というニュアンスが付加されます。これを合わせて考えると、「噛んで、表面に噛み跡を付けた」という意味になります。対して後者は他動詞のchewです。他動詞は「影響」「包含」がその核心です。したがって、この場合はthe pencilが噛まれて変形したり、口の中にすっぽり入っている感じを表しますので、「口の中に入れて、クチャクチャ噛んだ」のような意味になるわけです。他にも、以下のような動詞で似たような違いが生じます。
それでは、問題に戻りましょう。問題。以下の英文を訳し分けましょう。
- Oliver kicked him.
まずはこちらから。これはkickを他動詞として使っていることから、Oliverによって、himが「影響」を受けたことがわかります。よって、この英文は「Oliverの蹴りが命中した。」ということを暗示します。
- Oliver kicked at him.
対して、こちらはkickを自動詞として使っていることから、蹴るという行為がOliverの「自己完結」的な行為に終わったということを暗示します。よって、この英文は「Oliverはhimを蹴ろうとしたのだが命中はしなかった。」という意味になるわけです
- Oliverは彼を蹴った。
- Oliverは彼めがけて蹴った。(しかし当たらなかった。)
それはその動詞で表したい対象の数です。他動詞は二者間(主語であるAと、Aとは異なるB)との関係性を記述する動詞タイプであり、多くの場合それは他者への影響を意味します。たとえば、〜。haveやpossessなどはどうなんだと言うと、所有しているということは、影響下にもあるということなので、やはり大きな意味で影響を与えている(与えることの出来る立場にある)と考えることが出来ます。いうのが他動詞のエッセンスを抜き出すなら「AがBへ影響する or AがBを内包する」ということを表すことが出来ると言えます。
類題
問題。「私には住む家がない。」を英訳しましょう。
答え↓
- I don’t have a house to live in.
“in”に要注意!!!
本日のまとめ
- kick himのkickは他動詞。kick at himのkickは自動詞。
- 他動詞の本質は「他者への影響」
- 自動詞の本質は「自己完結」