このページでは、第一に数学を学ぶ魅力について、第二に上達の方法論について、そして第三にどのような教材を用いて数学の実力を磨いてゆくのかについて説明します。
魅力
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数学の魅力は多岐にわたりますが、ここでは、そのうち三つだけピックアップして詳しく説明します。
第一の魅力は『論理的思考力・問題解決力を養うことができる』ということになるでしょう。国語や英語は、なんとなくのふわっとしたフィーリングでも問題を解くことが出来ることがありますが、数学ではそれは許されません。回答に至る論理的道筋を初めから終わりまで確実に認識していなければ、ほんの少し数値を変えたり、問われ方が変わっただけで解けなくなります。よって、数学を得意にする過程では、分析・仮説・検証のサイクルを意識的に繰り返しながら、「答案を作成する際に、何が必要で、なにが不要か。 何が根拠として存在し、またその結果に何が連なるのか」を徹底的に考え続ける姿勢が常に求められます。 こうした高度な認知的作業の結果として、物事の因果関係や主張の論理的妥当性を見抜く力や、遠い道のりでも一歩一歩着実に踏破する忍耐力・実行力が身に着きます。
第二に『経済的自由の拡大』です。「理系は平均的に文系よりも収入が高い」という事実があります。というのも、数学が得意なら理系に進むことが一般的ですが、理系の、特に工学系の学部に進学することで、まず商品製造に役立つ専門知識や技術を身につけることが出来ます。また、今この世界に存在しないものを具現化する、すなわち、何かを発明する際にも、理系的な専門知識を必要とすることが多い世の中です。そして、そうした専門知識は習得に長期間を要することが多く、人数も限られるわけですから、希少性が高く、当然、報酬も高くなる傾向があります。
数学の魅力その三は『チャレンジングで、頭を捻る面白さがある』ということです。初めて見た時に絶対に解けないと思われた難問を、自分の持てる知識を総動員し、タテ・ヨコ・ナナメ・オモテ・ウラから眺め、撫でくりまわし、それでも解くことが出来なかった問題に対して、数日後にふとその答えに辿り着く突破口を閃いたときに覚える爽快感、これは筆舌に尽くしがたいものです。もちろん、そうした閃く楽しさを享受するには、考える土台たる基礎知識が完璧なものになっている必要があり、その境地に達するには確かに少々骨が折れます。しかし、その快感は他の科目ではなかなか味わうことが難しいものであると言えるでしょう。
方法
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骨太の数学力を養成するには、大きく分けて3つの段階があります。第一に、教科書か、それに準ずるテキストを使用して、『基礎固め』を徹底的に行う必要があります。この段階では、基礎概念のイメージ化、定理・公式の導出方法・適用方法への習熟、計算力の向上を優先的に行う必要があります。
これが出来たら、第二に『典型問題対策』に進みます。チャート式やフォーカスゴールドなどの、入試によく出る典型的な問題を集めた分厚い問題集を攻略するのが一般的です。その際に重要なのは、次々に学んでゆく新しい解法を、バラバラに頭に入れるのではなく、『基礎固め』で学習済みであり、かつそれぞれの解法のベースを成している概念に、その延長として付け加えてゆく意識を持つことです。人に説明することが可能であり、なおかつ、即答できる状態であることを目標に、各単元ごと徹底的に入試標準レベルの典型解法を叩き込み、頭の中に解法図鑑を作り上げましょう。
最後に『応用問題対策』に進みます。この段階では、典型問題対策で得た知識を単元横断的に広く組み合わせたり、それまで以上に深く掘り下げ思考することが求められる、つまり、広く・深い知識が必要な問題へ取り組んでゆきます。ここでは、過去問かそれに準ずるレベルの問題集を活用し、知識の組み合わせ方を把握したり、それに習熟できるよう、繰り返し演習を行うことになります。
ところで、よく言われることですが、数学は積み上げ科目の代表です。「今わからない」の原因は、多くの場合、すでに学習し終えたはずの範囲にあります。そこをあやふやなままに、何の対策を講じないのであれば、進めば進むほどに理解できないことが増えて行ってしまいます。「数学の面白さを発見したい。得意教科にしたい」と思う人は「わからないけどとりあえず丸暗記作戦」を即刻中止し、わかるところまで遡り、分析、具体化・抽象化、因果関係の確認を繰り返しながらコツコツと知識を積み上げていきましょう。
教材
教科書(検定教科書・体系数学・システム数学など)・参考書・問題集・過去問・論理パズルなどの中から、本人にあったものを選択します。