今日の「そこ知り英文法」は「mustとshouldの違い」についてです。mustとshouldの、特に推測用法における使い分けに迷った経験はありませんか?must「違いない」とshould「はずだ」のどちらを使えばいいのかについて。高校英語では主に確信度合いの差として教わることが多いようですが、実は、mustとshouldの決定的な違いは別にところにあるのです。キーワードは「絶対」か「抗えぬ運命」か。それでは、いってみましょ〜。前回の記事はこちら↓
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untilとbyの違い[青稲塾そこ知り英文法057]http://seito-juku.com/untilとbyの違い/今日の「そこ知り英文法」は「untilとbyの違い」についてです。高校で習いますuntilとbyの違いですが、よく「継続」と「期限」の違いとして教わります。有名な英文法教材であるForestにもそのように載っています。ところで質問ですが「彼の誕生日まであと三日だ。」…「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓
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青稲塾そこ知り英文法・まとめhttp://seito-juku.com/projects/青稲塾そこ知り英文法/このページは「青稲塾そこ知り英文法」シリーズのまとめページです。当シリーズでは、「受験に絶対必要」でも「学校で教わる」わけでもないですが、「正確な英文を作るために必要」だったり、「丸暗記の負担を減らすことができる」知識・考え方をまとめています。現…
問題
問題。mustとshouldのうち正しいものを選び、以下の英文の[ ]を埋めよ。
- He broke his leg last month. But he’s getting better day by day. So He [ ] recover completely sometime in the next few week.
答え↓
- should。
解説
mustのコアは「絶対」です。”You must go.”は「あなたは絶対に行かなきゃ」という話し手の判断を表します。したがって、「ねばならない」という訳語で使われます。対してshouldですが、これはそもそもshallの過去形ですので、shallから解説しますが・・・shallのコアは「抗えぬ運命」です。「抗うことのできない絶対者の意志によって、〜せざるえない」というのがそもそものshallのイメージです。そこから過去形にすることでニュアンスを薄め、「するのが正当」「すべき」となりました。ちなみに、”You should go.”には強制的なニュアンスはなく、「帰った方がいいよ」のように、本来はアドバイスとして使われる表現です。実は一般的に考えられている「べき」ほど、強制のニュアンスはなく、両者を比較すると、むしろmustの方があたりの強い感じになります。
- You must go.
- You should go
さて、ここまではmustとshouldの義務性に着目した意味合いを見ましたが、両者とも、またこれとはベクトルの違う意味を共通して持っています。蓋然性に関わる意味合いです。要は推測ですね。以下の二文の違いがわかりますか?
- He must be fit to play football.
- He should be fit to play football.
高校では、前者は「彼はサッカーが出来るくらい健康に違いない。」で、後者は「彼はサッカーが出来るくらい健康なはずだ。」のように訳語の違いをまず覚えさせられます。そして確信度に基づく申し訳程度の解説が付加されるというのが一番多いのではないでしょうか。事実、たとえば総合英語Forest 7th Editionでは以下のような解説がなされています。
mustは「絶対そうだ」,shouldは「きっとそうだ」,mayは「そうかもしれない」というニュアンス。mustは間違いなくそうだと思っている場合、shouldはそうではない可能性もある場合,mayはどちらかわからないような場合に使う。(総合英語Forest 7th Edition p.123より引用)
しかし、これだけでは両者の重要な違いを説明しきれていません。それは・・・mustは未来の推測に利用できないが、shouldはできるということです。
- He should be fit to play football.
推量のmustは「根拠のある現在の推量」に使われます。たとえば「彼はサッカーが出来るくらい健康に違いない。」をmustを使って言うならば、「毎日20kmランニングしている」などの根拠と一緒に述べるのが、分別ある大人のマナーです。未来の推量にしか使用できない理由は明白で、未来は不明瞭であり、「絶対」ではないからですね。したがって、mustを使って未来を言うと、「何でそんなこと言い切れんねん!」とツッコミをもらうことに・・・。
- He must be fit to play football. He runs 20km everyday.
対してshouldですが、これは解説冒頭でも説明しました通り、そもそもshall「抗えぬ運命」をもとにする表現ですので、未来の推量に使用して問題ありません。過去形になっている分いくらか確信度が薄まり、その変わりに「期待感」がこもった表現になります。したがってたとえ「違いない」という訳語が当てられていたとしても、未来のことに関してならばshouldを使う必要があります。「彼は来月にはサッカーが出来るくらい健康であるに違いない。」
- He should be fit to play football next month.
最後に一応捕捉ですが、must「〜しなければならない」の否定形「する必要がない」は don’t have to、「してはならない」はmust not。must「〜に違いない」の否定形はcan’t「はずがない」。shouldの否定形はshould notになります。これは基礎なので、今更大丈夫ですよね〜。
- You must do that.
- You don’t have to do that.
- You mustn’t do that.
- He must be tired.
- He can’t be tired.
- You should do that.
- You shouldn’t do that.
- It should be hard.
- It shouldn’t be hard.
それでは問題に戻りましょう。mustとshouldのうち正しいものを選び、以下の英文の[ ]を埋めよ。
- He broke his leg last month. But he’s getting better day by day. So He [ ] recover completely sometime in the next few week.
Soで始まる3文目の後方を見てみると”sometime in the next few week”「今から数週間のどこかで」という、未来を表すフレーズが入っていることがわかります。したがって、これは未来の推量を表すshouldを使って表現する必要があります。
- He broke his leg last month. But he’s getting better day by day. So He [ should ] recover completely sometime in the next few week.
類題
“must”と”should”から[ ]に入る方を選び、英文を完成させましょう。
- We have three quarters of an hour [ ] boring time.
- I won’t finish [ ] ten past seven.
答え↓
- We have three quarters of an hour [ until ] boring time.
- I won’t finish [ until ] ten past seven.
本日のまとめ
- mustは「絶対」。強制。根拠ありの現在についての推測。
- shouldは「抗えぬ運命」。助言。期待込みの現在or未来についての推測。