noneとnothingの違い[青稲塾そこ知り英文法035]
問題
問題です。「その中に魚いる?」「いないよ」を英訳すると正しいのは以下のうちどちら?
- "Are there any fish in it?" "None."
- "Are there any fish in it?" "Nothing."
正解は前者の"None"。自信を持って答えられましたか?
解説
noneはnoの仲間です。mostとmost ofの違い[青稲塾そこ知り英文法007]でも少しだけ触れましたが、(といっても実例を載せただけですが・・・)generalを前提とした場合はnoを、particularを前提とした場合はnone ofを使用します。たとえば、「AもBもCも・・・・どんなお店であれ、一軒も開いてなかった」「AとBとCのような特定の店舗のうち、どれも開いてなかった」などを表したければ、それぞれ以下のように言います。
- There were no shops open.
- There were none of the shops open.
今日さらに覚えて欲しいルールは「noneは単独でno+名詞の代用が出来る」ということです。「特定カテゴリーに絞って0」と言いたければnoneが使えるわけですね。ちなみに、noは疑問文に対し「いいえ。違います」と回答する場合を除いて単独で使用することが出来ません。したがって「いくら持ってる?」や「今まで何人の娘と付き合ってきたんだ?」に対して「0だよ」と言いたければ、noではなく、noneを使用する必要があります。「君たち付き合ってるの?」や「別れたんじゃないの?」に対して「違う!」と言いたい場合などにはno単独ですね。
- "How much money do you have?" "None (=No money)."
- "How many girls have you dated?" "None... (=No girls...)."
- "Are you dating?" "No!"
- "Did you break up?" "No."
次はnothingですが、これは見た目からそのままno+thing「thingが0である」がもとです。「漠然とモノ・コトが0であること」を表すので、たとえば「ここには何もない」「君に伝えることはないよ」「彼の英語は申し分ない(こうだったら良いのにと望まれるようなところを一つも残さない)」などの表現で使われます。
- There's nothing here.
- I had nothing to tell you.
- His English left nothing to be desired.
さて、それでは問題に戻りましょう。「その中に魚いる?」というのは、当たり前ですが「魚の有無」を聞いているわけですよね。それに対して素直に考えるのであれば、出てくるべき答えは「魚いるよ」か「魚いないよ」のいずれかのはずです。つまりここで言うところの「いないよ」は「魚がいない」つまり「特定カテゴリーに絞って0」ということなので以下のように言います。
- "Are there any fish in it?" "None (= no fish)."
それでは以下のように、nothingを用いて答えることは出来ないのでしょうか?出来なくもないですが、その場合意味が代わってしまいます。nothingは「thingが0。漠然と何もない」を表すので、たとえば「他の生き物・水・水草・酸素を入れる機器」などなど含めて何も入ってないという感じになります。「魚がいない」ではなく「何も入ってないよ」と表現したければこう言えばいいわけですね。
- "Are there any fish in it?" "Nothing."
類題
以下の英文を訳し分けましょう。
- "Didn't you have any candies in your bag?" "None."
- "Didn't you have any candies in your bag?" "Nothing."
答えは↓。
- 前者「バッグの中にアメ入ってないの?」「アメは持ってないな」
- 後者「バッグの中にアメ入ってないの?」「何も入ってないよ」
本日のまとめ
- noneはno+名詞。具体的な何かがないことを表す
- nothingはno+thing。漠然と何もないことを表す
Is there 〜 ? と聞かれた時、それがないと[ひと単語]で答えたい場合にはNoは不適切という解釈でよろしいでしょうか?つまり No, there isn’t. でも良いのですよね?
疑問詞を使用しない疑問文に対して、”No.”と一言で返すことは可能です。すなわち”Are there any fish in it?”に対して、”No.”と答えることは何ら不自然ではありません。当記事冒頭の問いは仮に”None.”と”Nothing.”のどちらかしか返せないのであれば、という出題でした。
このへん、日本語と同様に考えられると思いますが、たとえば「お金持ってる?」に対して否定的なことを返したい場合、一番シンプルな答え方は「いいえ」ですが、「まったく」だったり、「全然」だったり、返答方法って質問にもよりますが結構幅がありますよね。英語も同様、いろいろな答え方があり、シンプルに否定を表したければNoを、それ以外の情報を付け足したければ、状況によってnone,nothing,neitherなどを使用すればいいわけです。ただし、疑問詞ありの疑問文に対する返答としては、yes/noは用いません。
ちなみに、yesは肯定が、noは否定が続くというマーカーであり、だからこそ否定疑問文への返答は日本語感覚と真逆になってしまいます。気をつけるべき点の一つですね。yesを「はい」、noを「いいえ」と訳語だけで覚えていると混乱します。
Have you never had a girlfriend? 「彼女いたこと一度もないの?」
Yes, I have (had a girlfriend). 「いいえ、あります。」
No, I haven’t (had a girlfriend). 「はい、ありません。」
( )を補って考えると理解しやすいかもしれません。