今日の「そこ知り英文法」は「time for you to goとtime you wentの違い」についてです。”It’s time for you to go to bed.”と”It’s time you went to bed.”の違いを、動詞の形に込められた根本的イメージに着目することで解き明かしてゆきますので、両者の違いをすでに知っている人にとっても、広範囲に応用できるような説明を行うつもりです。よろしければ、ご覧下さい。キーワードは「未確定」と「距離」。それでは、いってみましょ〜。前回の記事はこちら↓
青稲塾・Each Student Infinite Possibilities
関係代名詞のthatと同格のthatの違い[青稲塾そこ知り英文法061]http://seito-juku.com/関係代名詞のthatと同格のthatの違い/今日の「そこ知り英文法」は「関係代名詞のthatと同格のthatの違い」についてです。関係代名詞と関係副詞の違い・whatとwhateverの違いに引き続き、関係代名詞周りの説明になります。同格のthatを品詞的に説明すると従属接続詞ということになります。その意味で、た…「そこ知り英文法シリーズ」まとめ記事はこちらから↓
青稲塾・Each Student Infinite Possibilities
青稲塾そこ知り英文法・まとめhttp://seito-juku.com/projects/青稲塾そこ知り英文法/このページは「青稲塾そこ知り英文法」シリーズのまとめページです。当シリーズでは、「受験に絶対必要」でも「学校で教わる」わけでもないですが、「正確な英文を作るために必要」だったり、「丸暗記の負担を減らすことができる」知識・考え方をまとめています。現…
問題
問題。小学6年生のBobが遅くまでスマホをいじって遊んでいます。本来なら夜9時が就寝時刻にも関わらず、現在は夜10時。明日も学校。流石にもう寝かさなければ。さて、Bobのお母さんのセリフとして適切なのは以下うちのどちら?
- It’s time for you to go to bed.
- It’s time you went to bed.
答え↓
- 後者。It’s time you went to bed.
解説
両者が言おうとしてる客観的事実は同じですが実は後者の方が幾分感情が乗ります。この場合、イライラしている感がある。
問題の英文の違いは、不定詞と仮定法の違いです。前者の英文は”It’s time.”「時間だよ」に”for you to go to bed”という形容詞句が掛かった形です。その中核となる不定詞は「to+動詞の原形」で表されます。動詞の原形の根本的なイメージは現在単純形と現在進行形の違い[青稲塾そこ知り英文法009]や動名詞と不定詞の違い[青稲塾そこ知り英文法010]などで説明した通り、「未確定」であり、したがって「to+動詞の原形」は「まだやってないことへの接続=まだしてないけどやがてする」がその本質でした。それを前提に考えると、前者の例文は「もう寝に行く時間だよ」くらいのニュアンスです。
- It’s time for you to go to bed.
対して後者の英文は”It’s time.”「時間だよ」に”you went to bed”という形容詞句が掛かった形です。ちなみに、timeとyouの間には関係副詞whenが省略されていますので、あまり見ない形ですが省略を補うと・・・
- It’s time you went to bed.
こうなります。さて、問題は”you went”の部分です。もちろん主語がyou、対応する述語動詞がwentですが、この過去形wentは過去時制を表しているわけではありません。実は仮定法を表す過去形です。実は、過去形で表すことができるのは3パターン。
- 過去時制
- 仮定法
- 丁寧表現
この3つです。共通するコアイメージは「距離」です。過去時制は「現在との距離」を、仮定法は「現実との距離」を、そして丁寧表現は「相手との距離」を表すわけですが、これらはそれぞれ過去形を使って表現することが出来るのです。言うなれば、過去形とは距離形なのですね。ちなみに、他の動詞形(現在形「不変」・原形「未確定」・ing形「動的」・過去分詞形「静的」)については現在単純形と現在進行形の違い[青稲塾そこ知り英文法009]や動名詞と不定詞の違い[青稲塾そこ知り英文法010]などを参照下さい。
この英文における過去形が表すのは、仮定法(imagination)です。つまり、この分には「本来はすでにgo to bedしているはずだ」というニュアンスが込められているわけですので、「もう寝に行っているはずの時間だ」が適切な訳語でしょうか。前者が「まさにそういう時間だ」と言っているのに対し、後者は「(現実はそうなっていないけど)本来はそういう時間だ」と言っているわけですから、この表現は相手に対する不満を表したり、自覚を促したりする際に好んで使われるわけです。
- It’s time for you to go to bed.
- It’s time you went to bed.
類題
小学6年生のBobが遅くまでスマホをいじって遊んでいます。就寝時刻は夜の9時。時計を見ると、今は夜9時前後。そろそろ寝る時間です。さてこのタイミングで、Bobのお母さんのセリフとして適切なのは以下うちのどちら?
- It’s time for you to go to bed.
- It’s time you went to bed.
答え↓
- 前者。It’s time for you to go to bed.
本日のまとめ
- 動詞の原形の根本イメージは「未確定」、過去形は「距離」。
- 過去形の「距離」は三種類。現在との距離(過去時制)・現実との距離(仮定法)・相手との距離(丁寧表現)を表す。
- “It’s time for someone to原形.”は時間ぴったり、客観的事実を言うときに使う。
- “It’s time someone 過去形.”はそうあるはずのタイミングから遅れている。批判・不満などを暗示する。