旧情報と新情報の違い[青稲塾そこ知り英文法021]
犬が噛んじゃった・・・
Mark君の家では犬を飼っています。ある昼下がり、庭先で一緒に遊んでいると、見知らぬ郵便配達員が荷物を届けに来ました。犬は何故か大興奮、その人を噛んでしまいました。大変!お母さん呼んでこなきゃ!!さてさて、こうした状況を英語で説明するとき、より適切なのは以下の内どちらでしょうか?
- Our dog bit a postman.
- A postman was bitten by our dog.
わかりましたか?日本文が与えられてそれを訳すのはできても、英語のルールに則って能動態or受動態を選択するのってなかなか難しいですよね。解答は後者前者です。こちらの方が聞き手としても受け入れやすく、この場合はより一般的な表現になります。
今日のポイント
英語の情報配列(単語の並べ方)に関する考え方として、旧情報と新情報というのがあります。旧情報とは、「すでに議論されていることや言及されたこと、常識的なこと、話し手と聴き手が慣れ親しんでいること」などを指します。これは同時に既知情報でもあるわけで、したがって一般的に情報としての価値が低いです。対して新情報とは、「未だ議論・言及されていない・常識にはなっていないこと、話し手と聴き手の共通理解がないもの」などを指します。こちらは未知情報がゆえに情報としての価値が高いわけです。さて、この旧情報と新情報、英文を作るときは通常、文法的に許される範囲で旧情報→新情報の順に並べるという決まりがあります。それが聞き手にとって一番わかり易く、スムーズに情報を伝えることができるからです。sinceとbecauseの違い[青稲塾そこ知り英文法019]やS is ~.とThere is S ~.の違い[青稲塾そこ知り英文法020] で解説したことも、こうした情報構造に関係する事項だったわけですね。(since+旧情報、because+新情報。冒頭に新情報を出さないためにThereを使う)
- Our dog bit a postman.
- A postman was bitten by our dog.
さて、ここで↑の文に戻ります。後者の表現、情報構造的に考えたら明らかにアウトです。Aが付いているわけですからは、A postmanは新情報ですよね。対してour dogは明らかに旧情報です。旧→新のように配列するのが普通なわけなので、したがって、ここでは前者の文の方がより受け入れやすいわけです。(そもそも、能動態に対してマイナーな受動態を使う際には、それに足る理由が必要です)ちなみに、話し言葉だと発音にメリハリを付けて重要箇所を表現できるので、書き言葉ほど気を遣わなくても良かったりしますが。
- Under the tree was a lovely parcel.
ところで、↑のような文を見たことありませんか?そう。倒置です。これも情報構造由来です。主語であるa lovely parcelが冒頭に来てしまうと、唐突な感があるので、wasを中心に前後を入れ替えたわけです。こうすれば、旧情報のthe treeが冒頭に来るので、通りがいいわけですね。
本日のまとめ
- 旧情報とは、既知情報であり、比較的情報としての価値が低いと考える情報。
- 新情報とは、未知情報であり、比較的情報としての価値が高いと考える情報。
- 旧情報は文頭近くに、新情報は文末近くに配置する。
Our dog bit a postman.
A postman was bitten by our dog.
の説明が矛盾してませんか?
冒頭は後者を推奨していて、中盤は前者を推奨しています。
ゆうさん
本サイトをご覧いただきありがとうございます。青稲塾 塾長の青木です。
大変失礼いたしました。ご指摘いただき助かりました。
ありがとうございました!