今日の「そこ知り英文法」は「過去を表すmay have doneと未来を表すmay have doneの違い」についてです。「助動詞 have done」と見ると過去についての推量!と反射的に答えてしまう人が多いですが、実際はそうではありません。have doneという形が持つ意味は「完了」であり、これは「過去」とは厳密には異なります。その証拠に、皆さんご存知のwill have doneは未来完了であって、未来過去ではありません。当然ですが。未来も表せるのに、過去しか無理と思われている代表格のmay have doneを切り口に、〜について説明します。本日のキーワードは「推量」と「完了」。それではいってみましょう〜。※こちらを読んでおくと、理解が促進されるかも。前回の記事はこちら↓
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青稲塾そこ知り英文法・まとめhttp://seito-juku.com/projects/青稲塾そこ知り英文法/このページは「青稲塾そこ知り英文法」シリーズのまとめページです。当シリーズでは、「受験に絶対必要」でも「学校で教わる」わけでもないですが、「正確な英文を作るために必要」だったり、「丸暗記の負担を減らすことができる」知識・考え方をまとめています。カ…
問題
問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- His English may have improved by the next test.
答え↓
- 訂正なし。
解説
「助動詞+have done」を見ると、何でもかんでも「過去推量」と答えてしまう人が一定数いるようですが、実際はそうではありません。そもそもhave doneという形が持つ意味は「完了」であり、これは「過去」とは異なる概念です。皆さんご存知の通りwill have doneは「未来完了」であって、「未来過去」と言うことはありません。
- By August next year, Tom and I will have known each other for 10 years.
来年の8月には、Tomと私が知り合って10年になる。
未来を表すことができるのに、過去しか表せないと思われている代表格にmay have doneがありますが、これを例に考えてみましょう。まず、have doneと併用するとき、mayは必ず「推量」の意味を取ります。mayは「〜かもしれないし、(そうじゃないかもしれない)」という50:50か、あるいはそれよりも分の悪い推量を表します。いずれにせよ、「そうじゃない場合」も同時に頭に浮かんでいるわけです。そしてここが大切なのですが、mayの推量は「個別的未来の可能性」を対象にすることも出来るのです。(ちなみに、「一般的な可能性」を表すのはcan。canとmayの違い[青稲塾そこ知り英文法011]参照)
- It may rain heavily tomorrow.
明日は土砂降りかも。
「未来」というとwillしか浮かばない人がいますが、決してそうではなく、実はmayを筆頭にその過去形のmightやcouldも「未来の可能性」を表すことができるのです。よってmay have doneは「過去の一時点までに何かを完了したことを推量する」という過去推量以外に、「未来の一時点までに何かを完了することを推量する」という未来推量の意味を併せ持つわけです。これがどちらの意味で使われているのか見分けるには、いつ時点の話なのかを注意深くチェックする姿勢が大切です。
- He may have graduated from school by March next year.
彼は来年の3月で卒業かもしれません。 - He may have graduated from school by now.
彼はすでに卒業済みなのかもしれません。
上の英文は未来を、下の英文は過去を推量しています。推量の対象が時間軸上において正反対なわですが、それを決定するのはあくまでも”by March next year”や”by now”という部分なのです。may have doneを見かけたら、文中に時を表すフレーズを注意深く探したり、これまでの文章の展開を考えるようにしましょう。さて、ここまで読んでみて、「それじゃあなんで、mustやcanにはhave doneをともなって未来を表す意味がないんじゃ〜!」と思ったそこのあなた。良い疑問です。それではmayと同じく、mustやcanの推量的な表現の使用法を確認してみましょう。
- She keeps crying. She must have a problem.
彼女はずっと泣いている。問題を抱えているに違いない。
まず、mustの推量用法「〜に違いない(95%の確信)」ですが、これは未来の推量には使えません。「過去や現在の状況を根拠に、予想がかなりの高確率で正しいはず」と思ったときが使用タイミングです。未来は不確定要素を多く含み、今までがどうあれ、これからがどうなるかなんて断定出来るはずもないので、未来に対してはmustを使ってやることはできないのですね。
- we all can make mistakes.
私たちは皆、間違いを犯しうる。
次にcanです。can’t have doneのように否定文で使いますが、そのもとであるcanの推量用法「〜ということもありうる」は一般可能性について言及する表現です。「タイミング関係なしに、何かが起こりうること」を表し、そもそも過去・現在・未来という特定の時間と併用することがないのですね。つまり、mustもcanも端から未来を表す用法を持たず、したがってhave doneと併用しようが未来を表すいわれがないわけです。
それでは問題に戻りましょう。問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- His English may have improved by the next exam.
may have improvedがby the next examとともに使われていますが、may have doneは未来を表す用法も持っているので問題ないです。したがって、「訂正なし」が答えです。訳すと「彼の英語は次回のテストまでに改善しているかもしれません。」となります。
類題
問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- She couldn’t have finished her homework by tomorrow.
答え↓
- 訂正なし。
本日のまとめ
- may have doneは「未来」と「過去」の推量で使用可能。
- could have done・might have doneも同様。
- must have done・can’t have done は「過去」のみ。