more cuteとcuterの違い[青稲塾そこ知り英文法084]
問題
問題。下の英文には文法的に誤りがあります。訂正しましょう。
- She is cuter than beautiful.
答え↓
- She is more cute than beautiful.
解説
中学で初めて比較を習う際に「cuteのように短い単語(厳密には一音節の単語や、二音節の単語のいくらか)を比較級にするときは、cuterのようにerで終わらせる。importantのような長い単語(二音節の単語の残りと三音節以上の単語)は、more importantのようにmoreを付して表す」というルールを教わります。
- She is cuter than Alice.
- It is more important than that idea.
これが比較級の文を作る上での基本ルールですが、しかし、状況によってはcuteのような-er変化をする語の比較級をmore cuteと表すこともあります。「性質と性質」を比較するときに使われる表現です。高校で習いますね。たとえば・・・
- I hear Oliver fought against the boxer. He is more mad than brave.
Oliverはボクサーと喧嘩したらしいね。勇敢というより、むしろ頭おかしいな。
こんな感じのやつです。「ややこしいなぁ。なんだこれ・・・」と思うでしょうが、これはこれで、意味があってこの形なのです。順を追って説明してゆきましょう。まず、比較構文の原則を確認しておきましょう。比較の構文には「何と・何を・どのような基準において比較するのか」という比較の3点セットが文中に含まれます。省略されることもありますが、書かれていないだけでこの視点は基本的に存在します。
- He is fatter than Tom.
- He runs faster than Tom.
そして、このように通常の文では-erがついているものが比較の基準になりますが、(ちなみに、一文目は「HeとTomをfatという基準で」、二文目は「HeとTomをfastという基準で」比較しています。)性質比較の構文では「何が・何と・どのような基準において」という3要素の位置が少し変わってきます。
- He is more mad than brave.
先ほど出した文で検討してみましょう。「彼は勇敢というより、頭がおかしい。」ですから、素直に考えて、この文において比較されているのはmadとbraveです。基準はなんでしょうか?これは、Heの性質です。つまり、性質比較構文は「ある人物・モノの性質」を基準に「それを言い表すのに、適した言葉がどちらであるか」を比較表現する構文なのです。特にmoreが付いているmadはこの場合通常時とは異なり、基準ではなく、対象であることに注意です!!
ところで、英語における比較は結構厳密でして、たとえば、「日本の天候はイギリスよりも温暖だ。」を・・・
- The climate of Japan is milder than England. (×)
このように書くと、文法的には×が付きます。比較対象が揃っていないからです。これでは「日本の気候」と「イギリスという国」を比較することになってしまうのです。正しくは・・・
- The climate of Japan is milder than that of England. (○)
こうですね。これと似た現象が性質比較構文でも起こります。比較の対象としてツガイである以上、原級であるbraveに合わせて、madも原級にしなければ、シックリこないのです。形が近い方が、「何と何を比べているのか」が、よりわかりやすくなるというのもありますしね。それでは問題に戻ります。問題。下の英文には文法的に誤りがあります。指摘した上で訂正しましょう。
- She is cuter than beautiful.
"than beautiful"とあることから、比較対象の一角はbeautifulであることがわかります。当然、sheとbeautifulを比較することは出来ないので、比較対象はcuteとbeautifulにする必要があります。ということで、cuterをmore cuteに変え、性質比較構文に変えて完成です。
- She is more cute than beautiful.
類題
問題。下の英文には文法的に誤りがあります。訂正しましょう。
- He is better than bad.
答え↓
- He is more good than bad.
本日のまとめ
- S is more cute than...は「cuteと...の比較。基準はSの性質」
- S is cuter than...は「Sと...の比較。基準はcute」