allとeveryの違い[青稲塾そこ知り英文法033]
問題
問題です。「ほんの小さなものでも役に立つ」を英訳すると正しいのは以下のうちどちら?ちなみにこれ、日本語の「塵も積もれば山になる」に対応する諺なのですが、若干ニュアンスが異なるので、直訳だけを参考に考えてみましょう。
- All little bits help.
- Every little bit helps.
どうでしょうか?前者と答えた方、あるいは違いがわからなかった方。残念。正解は後者です。
解説
まず両者の一番わかりやすい違いは、その使用方法にあります。「すべての」という意味で使われるとき、基本的にallは複数名詞と、everyは単数名詞とともに使われます。
- All students study hard.
- Every student studies hard.
↑ほどわかりやすくはないですが、意味上の違いもあります。allは「抽象的にひとつの集合の端から端まで」を意味します。複数の構成要素を漠然とひとつのグループとして捉える時に使われるわけです。ごちゃっと、ひとかたまりになってるのはわかるけど、それを構成する個々にまでは意識が行ってない感じですね。たとえば、all studentsとあったら、「studentsが並んでて、その端から端まで」といった、遠目から引きで見ている感じになります。対して、everyは「ある集団の具体的な構成要素すべて」を意味します。複数からなる集合の構成要素を個別具体的に捉える時に使われます。こちらは、集合の構成要素を意識した語です。たとえば、every studentとあったら、「studentsという集合を構成するA・B・C・・・もれなくすべて」といった感じになります。上で説明した「every+単数名詞」のルールは、この感覚の上に成り立っています。
- All of the students there had to study hard.
- Every student should study hard.
さてさて、ということで問題に戻りましょう。「どんな小さなものでも役に立つ」は「漠然と些細なものの集合が役に立つ」というよりも、「些細なことA、些細なことB、些細なことC・・・の、たとえ一見役に立ちそうにないbitだとしても、どれを取っても役に立たないものはない」というのに近いので、したがって正解はeveryなわけです。
- Every little bit helps.
問題の解説は終えてしまいましたが、ここでone more thing。もうひとつ大切なのが、allが単数名詞と共に使用される場合です。この場合のallは「ひとつの要素の端から端まで」つまりwholeとほぼ同じ意味になります。
- all the way ≒ the whole way
- all my life ≒ my whole life
面白いのは、allの後ろに時間的な表現が入ったときです。これらの表現にはeveryを使った対応する表現があるのですが、比較してみましょう。
- all day「一日中」(dayの端から端まで)
- every day「毎日」(day1,day2,day3....のもれなくすべて)
- all week「一週間ずっと」
- every week「毎週」
- all month「一ヶ月ずっと」
- every month「毎月」
- He is at home all the time.「彼は常に家にいる」
- Every time he said "No!", he was kicked.「やだと言う度に蹴られた」
allを使った表現は「期間の端から端まで」を、対してeveryは「複数期間を前提にもれなく全て」を示しています。両者のニュアンスの違いが色濃く出てますね。
類題
「誰にでも成功の機会はある」を英語の諺で言うと、正しいのは以下のうちどちら?
- All dogs have his day.
- Every dog has his day.
答えは↓。
- Every dog has his day.
(dogA,dogB,dogC...運の悪い才能のないアホな犬が紛れていても、どんな犬でも良い日はやってくる)
本日のまとめ
- allは「抽象的にひとつの集合(要素)の端から端まで」
- everyは「ある集団の具体的な構成要素すべて」