理解[習熟の心得・二]
因果
抽象具体
まとめ(=抽象)と例(=具体)。抽象と具体の間を上手く往復することは顕微鏡のピントをあわせる行為に似ています。ピントを絞り過ぎると、細かいところのチェックはできますが、今見ているのが全体の中でどこの部分なのかはわかりません。これでは詳しく見たいところをすぐに探すのは難しいですし、全体の中での位置取りがわからず、イマイチしっくりきません。しかし、かと言ってピントを緩めたままだと、全体像は掴みやすいですが、詳細な情報は入ってきません。顕微鏡を使う時に大切なのは、まずはピントを緩めて全体を把握した後で、より詳しく知りたいところへ照準を合わせてゆく、途中で見失ったら再度ピントを緩めて・・・。この繰り返しでそれが何たるかを掴むのです。勉強も同じです。まずは、自分が何を勉強するのかを大まかに知り、そこから徐々に具体的なところへ及んでゆく。自分が何をやっているのかよくわからなくなったら、根本に立ち帰り、全体の中での位置取り、他の項目との関係性を簡単に理解してからまた細かいところへ戻ってゆく。こうした抽象と具体の往復運動を何回も繰り返すことが大切です。ちなみに、目次をコピーして手許に置いておき、見出しを書き込んだりしながら進めてゆくと、今勉強している公式やルールなどが全体の中でどのような意味を持つのかが確認しやすくなります。良ければ試してみて下さい。
比較
比べること。似通ったもの同士を比べるとそれぞれの特徴が際立ち、理解の助けになることが多くあります。たとえば、現在完了の完了用法。「なんとなく使えるけど、自信がない。存在意義がわからない」と感じている人は多いのではないでしょうか。ここでは試しに過去形と比べながら、現在完了完了用法の意味を探ってみます。両者とも「〜した。」という日本語に訳出できるところは共通ですね。しかし、大きな違いとして、過去形は文字通り過去についての情報しか言えないのに対して、現在完了は現在も含んだ説明が出来るという点が上げられます。(というよりむしろ、現在完了が伝えたい情報は今現在の状況です。あくまでも現在完了は現在形の仲間)たとえば、"I lost my key."では過去において失くしたのであって、今現在どうなのかはっきりとわかりません。しかし、"I have lost my key."では、過去において失くし、さらに今現在もその影響が続いている。つまり、今も見つかってないという状況を表せるわけです。このように、似た事柄に着目して比較を行うと、それぞれの特徴をより詳細に理解してゆくことが出来ます。
さらに、比較を利用して覚える量を圧縮することも可能です。たとえば、現在完了と過去完了でやってみましょう。両者を比較してみると完了形である点は共通で、時制(現在or過去)において相違点があります。すでにあなたが現在完了(ある時点から今までを表す)を理解し、現在と過去の違いも把握しているのであれば、それらをもとに、過去完了の意味は「もっと昔時点から過去のある一点までを表すのでは?」と推し量ることができるはずです。あとはその考え方が合っているのか確認・修正し、問題なければ慣れるだけです。こうすれば、過去完了の意味を1から覚えずに済むので時間の短縮になりますし、すでに知っていることと結びついているので忘れにくくもなります。かなりの効率化が図れるのでぜひやってみましょう。