the worldとa worldの違い[青稲塾そこ知り英文法076]
問題
問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- We had a full moon on that day.
答え↓
- 訂正なし。
解説
「worldって、冠詞は何を付けるべき?a world??それともthe world???」こう聞かれたら、あなたはどのように答えますか?そこそこ勉強している人でも、(と言うか、勉強しているがゆえに?)残念ながら「theを付ける」と即答してしまう人が多いような気がします。これは学校などで「worldやsea、sunなどの世の中に一つしか存在しないモノ(唯一物)にはtheを付けなければならない」と教わることが原因なようですが、実はこの説明、厳密には間違っています。
確かに唯一物には基本的にはtheを付けますが、実はaをつける場合もあるのです。それは、唯一物が唯一物ではなくなる場合です。たとえば、the worldは比較的よく見ると思いますが、これは「(唯一の)世界」を指します。対してa worldが表すのは「複数存在する世界の1つ」です。別にパラレルワールドの話ではなく、たとえば以下のような場合です。
In a world filled with hate, we must still dare to hope.
In a world filled with anger, we must still dare to comfort.
In a world filled with despair, we must still dare to dream.
In a world filled with distrust, we must still dare to believe.
— Michael Jackson
これは、数年前に亡くなったマイケル・ジャクソンの詩ですが、さて、文法的に注目すべきポイントは「どのworldの前にもaが付いている」というところです。何故でしょうか?一番上の文を例にとって、その背景にある考え方を見てゆきましょう。
In a world filled with hate, we must still dare to hope.
anotherとthe otherの違い[青稲塾そこ知り英文法008]や不定冠詞+関係代名詞と定冠詞+関係代名詞の違い[青稲塾そこ知り英文法073]でもお話した通り、the「唯一」に対してaが表すのは「複数ある中の一つ」です。これが唯一物と組み合わさり、a+唯一物というまとまりになると「唯一物の一様相」を表すことが出来るようになります。よってa world filled with hateという表現には、「憎しみで満たされているというのは世界の一様相であって、全てではない」という含みがあります。ここでthe world filled with hateと言うとなると、「〜という側面もある」というより「世界というのは〜だが」といった感じになります。まあ、要は「唯一物を絶対的に見るならtheを使う」「唯一物であれど相対的に見るならaを使う」ということです。以下の場合も同様に、唯一物の一側面を表します。
- When I work up, there was a sky full of stars.
- A red sun is caused by particulate matter like rain, fog, smoke, or smog.
- I saw a ship sailing on a calm sea.
bright skyとかempty skyとかblue skyとか空の状態は色々あるわけですが、そういった複数の状態を背景にその中の一つを指すので、aを使うわけです。sunやseaに関しても同様です。あくまでもaが表すのは「複数の中の一つ」。それ以上でもそれ以下でもありません。それでは問題に戻りましょう。問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- We had a full moon on that day.
moonには、他にもnew moon, crescent moon, half moonなどがあります。そのような「複数ある様相の中の一つ」という意味で使う場合はaを付けて表現します。ということで、「訂正なし」が正解になります。
類題
問題。以下の英文におかしなところがあれば訂正せよ。
- What are your plans for the future?
答え↓
- 訂正なし。
本日のまとめ
- 唯一物を絶対的に見るならtheを使う
- 唯一物であれど相対的に見るならaを使う